個体毎の作物生育量に対応するスポット可変施肥機


[要約]
初期生育の不揃いが生じる直播野菜等の生育斉一化を図るため、作物個体情報収集制御装置と局局所施肥機構で構成されたスポット可変施肥機を試作した。リアルタイムで作物個体の葉面積・位置情報を検出し、作物個体の大きさに応じた施肥量を土壌潅注できる。
北海道農業試験場・総合研究部・総合研究第2チーム
[連絡先]0155‐62-9285
[部会名]総合研究
[専門]機械
[対象]茎葉菜類
[分類]研究

[背景・ねらい]
大規模畑作地帯における土地利用型の野菜作、特に直播によるキャベツの作型では、発芽および初期生育の不揃いとなりやすい。そこで、作物個体の生育を追肥などの栽培管理により揃えるために、個体の生育量に対応した可変施肥機を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 画像処理により作物の投影葉面積と圃場内の位置を計測する個体情報収集制御装置(GISIP)の情報をリアルタイムで利用するスポット可変施肥機を試作した(表1)。作物個体を自動的に検出し、注入ノズルを作物株横の地中にさし込み液肥を施用する機構である。個体毎の大きさに応じて、施用量を5段階に制御して走行することが可能である(図1)
  2. GISIPの個体識別精度は隣接した作物個体が重ならない場合、個体認識率は86%以上、個体の圃場位置と計測値とのずれは標準偏差で約4cm以下である(表2)。また、GISIPによる投影葉面積の測定精度は、写真による投影葉面積の測定値との相関係数が約0.98と高く、実作業に利用可能である。
  3. スポット可変施肥機のノズル動作率(正常動作数/全個体数)は80%以上で、ノズルの誤動作(個体を認識せずに動作)はない。ノズルが動作しないのは、株間が40cln以下の個体、あるいはカメラのフレームに収まらない個体である。施肥位置(ノズルの貫入位置)と株位置のずれは標準偏差で約4cm以下となり、対象個体の前後8cmに95%以上の確率で潅注することが可能である(表2)
  4. 圃場内走行による連続作業において、狭い株間の前方の個体、及び生育が進み過ぎてカメラのフレームに収まらない個体を除くと、個体識別と施肥ノズルは確実に動作する(図2)

[成果の活用面・留意点]
  1. 機械の構造上の制約で株間が約40cm以下の場合、ノズルは動作しない。
  2. 精度を高めるために雑草防除が必要である。
  3. 隣接個体と作物葉が重ならない程度の生育ステージまで利用可能である
[その他]
研究課題名:直播キャベツの生育斉一化のための個体管理技術の開発
予算区分 :地域総合・経常
研究期間 :平成10年度(平成9年〜12年)

戻る