農協・第3セクターの地域支援型受委託における料金設定と評価
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[要約]
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地域農業政策の一環である「地域支援型受委託」では、受託費用は農家請負より高コストとなる。受託費用が、委託農家にとり妥当な水準を上回る場合、受託費用低減や補填措置の検討が必要となる。
北海道立中央農業試験場・経営部・経営科
[連絡先]01238-9-2001
[部会名]総合研究(農業経営)
[専門]経営
[対象]
[分類]指導
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[背景・ねらい]
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「地域支援型受委託」を「地域の農業経営の維持展開の手段として、地域農業政策の一環として行われる受委託」と定義する。「地域支援型受委託」の役割は重要となりつつあるが、料金設定水準に関する情報は十分提供されていない。そこで、現在の受委託料金水準の評価および標準料金試算を行う。
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[成果の内容・特徴]
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てん菜の移植・収穫作業の現行料金水準は、農業経営の期待収益を高めるが受託組織は採算性を得られない(表1)。料金値上げは、低料金で受託可能な農家請負の参入や、委託の判断基準となる農家の自家作業時のコストとの乖離拡大と需要縮小に結びつく。受委託の継続には、料金水準と受託コストの格差が補填される必要性がある。
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第三セクターによる水稲無人ヘリ防除の標準受託費用を農家請負との対比のもとで算出すると(表2)、第三セクターでは、1.オペレーターの労働時間の社会的制約のもとで、時期的に集中する委託作業をこなすため、天候不順時にも作業がなされ墜落事故が避けられない、2.農家請負の場合変動費となる労賃が、第三セクターでは固定費となる、等から、高コストとなる。
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根釧(牧草細切サイレージ)、十勝(牧草細切サイレージおよびコーンサイレージ)、天北(牧草細切サイレージおよび乾草)を想定し、飼料収穫調製作業と堆肥散布・運搬作業受託時の受託費用を試算すると(表3)、現状では、堆肥散布・運搬作業等周辺作業の稼働率はおよそ50%以下であるが、これらの稼働率をあげることで、単位面積・時間当たりの作業費用は低下できる。
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[成果の活用面・留意点]
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試算数値は特定の条件下におけるものである。利用には、地域の実情に即した修正・検討が必要となる。
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[その他]
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研究課題名:コントラクターの運営方式に関する調査研究
予算区分 :共同研究
研究期間 :平9〜10年
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