火山灰土の液状化抵抗の向上


[要約]
現地の施工で発生する砂質火山灰土は、農業土木工事において資材として利用されているが、粒径組成によっては地震時に液状化現象を呈することがある。液状化に対する抵抗を向上させるのに、現地で発生する種々の粗粒火山灰土を混合して粒度改良するのが有効である。
開発土木研究所・農業開発部・農業土木研究室
[連絡先]011-841-1111
[部会名]総合研究(農業物理)
[専門]水利施設
[対象]農業工学
[分類]指導

[背景・ねらい]
火山灰土は近傍の農業土木工事等における土工材料として用いられることが多い。農業用パイプライン工事においても、管路の埋戻し土として現地発生の砂質火山灰土を用いた経済的な埋戻し施工が行われている。一方、地震時に砂質系の土は液状化による強度低下を引き起こす事例もみられることから、管路等の埋戻し土の液状化抵抗の向上対策が求められている。

[成果の内容・特徴]
  1. 火山灰土が「特に液状化の可能性のある粒度範囲(A)」に属する場合には、液状化の可能性の低い火山礫との混合調整によって、「液状化の可能性のある粒度範囲(B)」に改良することができる(図1)
  2. 大型供試体(径200mm、高さ400mm)を用いて非排水繰返し三軸圧縮試験(液状化試験)をすれば、火山礫の混合割合の大きい試料ほど液状化抵抗が大きくなる(図2)。これは粒度改良の効果を示すものである。

[成果の活用面・留意点]
  1. 現地において粗粒〜細粒の分布をもつ火山灰土の堆積構造が見られる場合には、原位置で混合することで、作業の省力化を図ることができる。

[その他]
研究課題名:パイプライン基礎・埋戻し材の流動化抵抗に関する試験研究
予算区分 :経常
研究期間 :平成9・10年度

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