大区画水田における長辺取水の有効性


[要約]
礫質褐色低地土のように浸透の多い大区画水田では、長辺沿いの多数の水口から取水すれば、通常の短辺方向からの取水に比べて取水量も取水時間も節減できる。
北海道立中央農業試験場・農業土木部・農村環境科
[連絡先]01238-9-2001
[部会名]総合研究(農業物理)
[専門]農地整備
[対象]農業工学
[分類]指導

[背景・ねらい]
水田の区画を拡大することにより、代かき時などの水管理において、取水時間や用水量の増大を招く事例が見受けられる。そこで、効果が大きいことが想定される浸透の多い礫質褐色低地土において、長辺方向に設置した管水路で取水することによる代かき用水量と取水時間の節減技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 礫質褐色低地士で下層の透水性の大きい(図1)圃場の短辺側からの取水(水口2ヶ所)では、灌概強度を上げても用水量はあまり減らない。ただし、取水時間は短縮する(表1)
  2. 下層士の透水性が大きい大区画圃場で短辺取水の場合、代かき時に水足が単位面積前進するのに必要な水量(一定時間内に水足が延びた面積でその時間内の用水量を割ったもの)は、水足の進行につれて激増する。(図2)
  3. 長辺の4ヶ所の水口から取水する場合、水足がおおむね順調に進行し、取水時間、代かき用水量がともに節減できる(図3)。年次によっては、短辺取水に比べ、用水量で80%、取水時間で75%減少した事例もある(表1)
  4. 湛水後の水補給を、4ヶ所の水口の内2ヶ所だけ(NO.1,NO.3〜図3で行っても、その付近だけ冷水害を受けることはない(表2)

[成果の活用面・留意点]
  1. 長辺取水による代かき時の用水量の削減や取水時間の短縮はどの圃場でも生じるが、最大限の効果が上がるのは礫質褐色低地土のような透水性の大きい圃場である。

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分]
課題名:大区画水田における長辺取水の有効性(指導参考)

[その他]
研究課題名:大区画水田における長辺方向管水路取水の有効性
予算区分 :補助(地域基幹)
研究期間 :平成10年度(平成7〜10年)

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