硬盤層造成による軟弱地盤水田の地耐力向上


[要約]
トラク夕の走行が難しい軟弱地盤水田は、砂の硬盤層を造成することで、湛水中であってもトラク夕の走行に支障がなくなり、水稲生育にも好影響がもたらされる。
北海道立中央農業試験場・農業土木部・生産基盤科
[連絡先]01238-9-2001
[部会名]総合研究(農業物理)
[専門]農地整備
[対象]農業工学
[分類]指導

[背景・ねらい]
北海道の畑作ではトラク夕に装着した片側30mのブームスプレヤによる防除作業が行われるが、大区画水田は湛水中の地盤が軟弱なためトラク夕の走行が難しい。湛水中の大区画水田をトラク夕で防除できるように基盤整備技術が切望されている。そこで防除機の予定走行線に山砂で硬盤層を造成し、湛水中のトラク夕防除を可能にする。

[成果の内容・特徴]
  1. 砂硬盤層は十分に堅く、湛水中でもトラク夕の走行には支障がない(図1)
  2. 硬盤層の厚さは15cmで十分である。資材としては、粒度分布が不良で細粒分が僅少か欠如している砂が最適である(表2)
  3. 硬盤層の造成で、作土の透水性と減水深が高まる(表1)
  4. 硬盤層直上部の作土で、水稲の生育は悪くならず、逆に収土が増え食味も向上する(表3)。これは、硬盤層によって生育後期の窒素吸収が抑制されるためである。

[成果の活用面・留意点]
  1. 湛水中の地耐力が弱い土壌で、泥炭土を除く水田に適用する。
  2. 硬盤層造成資材は粒度分布が不良の砂で細粒度は僅少かまたは欠如している山砂を用いる。
  3. 硬盤層の造成幅および設置間隔は作業機種に応じて設定する。
  4. 作土厚さが20cmあれば、硬盤層造成に伴う施肥管理等栽培管理に対する配慮は必要ない。
  5. 深耕等による造成硬盤層の作土への混入を掛ける。
  6. 硬盤層造成圃場は水稲単作を続けることを前提とする。

[具体的データ]
(表4)

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分]
課題名:硬盤層造成による軟弱地盤水田の地耐力向上

[その他]
研究課題名:硬盤層造成による軟弱地盤水田の地耐力向上
予算区分 :補助(地域基幹)
研究期間 :平成10年度(平成8〜10年)

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