フリーストール牛舎における乳牛行動と牛床の快適性判定法


[要約]
乳牛の1日の行動は横臥が52.7%、牛床佇立が15.0%、採食が21.7%である。乳牛の行動が比較的安定している状態での、平均的な横臥率(観察時の牛床利用頭数に対する横臥頭数の割合)の範囲は70〜80%、牛床が快適である場合の横臥率は80%以上である。横臥率が70%以下の場合は、牛床に何らかの問題があると判定できる。
北海道立根釧農業試験場・研究部・酪農施設科
[連絡先]01537-2-2004
[部会名]総合研究(農業物理)畜産・草地(畜産)
[専門]農業施設
[対象]乳用牛
[分類]指導

[背景・ねらい]
フリ−スト−ル・ミルキングパ−ラ方式を導入するにあたっては、省力的な乳牛管理作業と乳牛にとって快適な空間を確保する必要がある。そこで、フリーストール式牛舎における乳牛行動を明らかにするとともに、牛床の快適性の判定法を提示する。

[成果の内容・特徴]
  1. 乳牛の日中の牛床横臥率は搾乳後が最も高く、その後徐々に低下して搾乳前で最低となる。夜間の横臥率は夜中に採食頭数が増加するため一時的に低くなる場合もあるが、飼槽の飼料が減少するにしたがって横臥率は上昇する。また、乳牛の1日の行動は横臥が52.7%、牛床佇立が15.0%、採食が21.7%である。
  2. 搾乳作業前後の飼料給与の有無により、搾乳後の乳牛行動が決定され、搾乳終了時に新鮮な飼料が配餌されている場合には、採食してから横臥する。
  3. 1日の横臥割合が高い農家では、牛床での佇立割合は低く、横臥割合が低い農家では牛床佇立割合は高い。また、牛床空間を改善して頭部突き出し空間を確保した場合には、牛床横臥率は約2週間〜3週間で安定し、牛床改善後、平均横臥率が改善前と比較し17%上昇する。このことから、牛床の快適性は横臥率によって推定できる。
  4. 牛床横臥率から一般的な牛床の快適性を判断するための指標は、乳牛の行動が比較的安定している状態で、平均的な横臥率の範囲は70〜80%、牛床が快適である場合の横臥率は80%以上である。横臥率が70%以下の場合は、牛床に何らかの問題があると判定できる。
  5. 牛床の快適性を簡易に判断する場合には、搾乳終了1.5時間後から2時間の観察(搾乳終了後給餌の場合には、給餌終了2時間後から2時間の観察)の横臥率を用いることができる。

[成果の活用面・留意点]
  1. この調査結果は、温暖な期間の平均的な乳牛行動である。
  2. 乳牛行動の調査は24時間の連続観察を基本とする。
  3. 横臥率による快適性の判定は、牛床に対して収容頭数が極めて多い場合(1.3倍以上)を除く。

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分]
課題名:フリーストール牛舎における乳牛行動と牛床の快適性判定法(指導参考)
[具体的データ]
図1図2表1表2

[その他]
研究課題名:大規模土地利用型酪農における省力的群管理技術の開発
予算区分 :国費補助(地域基幹)
研究期間 :平成6〜10年度

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