スルホニルウレア系除草剤抵抗性水田雑草出現圃場における緊急対応


[要約]
スルホニルウレア系除草剤に対する抵抗性検定の結果、道内数地点から採取されたイヌホタルイとミズアオイについて抵抗性を確認した。これらに対する緊急対応策として、残草圃場における事例調査から使用除草剤切り替えの必要性を判断するためのチェック項目を作成し、さらに数種の有効除草剤を示した。
北海道立中央農業試験場・稲作部・栽培第一科
[連絡先]0126-26-1518
[部会名]作物
[専門]雑草
[対象]稲類
[分類]指導

[背景・ねらい]
スルホニルウレア系除草剤(SU剤)抵抗性イヌホタルイ、ミズアオイが確認され、除草剤の不効問題が全道レベルで年々増加している。生産現場での混乱を最小限に抑えるため、これら抵抗性雑草に対する緊急的対応策を提示する。

[成果の内容・特徴]
  1. 2市7町の12供試イヌホタルイ中、8供試イヌホタルイでSU剤抵抗性が確認された(図1)。また、長沼町のミズアオイについてSU剤抵抗性を確認した。
  2. SU剤抵抗性出現圃場の事例解析結果から、共通的特徴を5項目抽出し、使用除草剤の切り替えの必要性を判断するためのチェック項目とした(表1)。
  3. SU剤抵抗性イヌホタルイあるいはミズアオイ出現圃場において、数種除草剤の効果を検討した結果に基づき、有効除草剤を示した(表2)。
  4. チェック項目全てに該当する圃場では、SU剤抵抗性イヌホタルイあるいはミズアオイ出現の可能性が高いと考えられるため、表2に示す除草剤へ切り替えることにより、生産現場での混乱を最小限に抑えることが可能である。

[成果の活用面・留意点]
  1. SU剤抵抗性か否かは、ただ単に残草したのみの状況では判断できない。イヌホタルイあるいはミズアオイ残草圃場に関する対応表に基づいた指導が必要不可欠である。
  2. 本成績は、残草の認められていない圃場におけるSU系除草剤の使用を制限するものではない。
  3. 緊急的対応であり、3年程度の後に見直しを必要とする。

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分]
課題名:スルホニルウレア系除草剤抵抗性水田雑草イヌホタルイおよびミズアオイ出現圃場における緊急対応(指導参考)

[その他]
研究課題名:スルホニルウレア系除草剤抵抗性水田雑草イヌホタルイの生態解明および有効除草剤の選抜
予算区分 :受託
研究期間 :平成10年度(平成10〜12年)
発表論文等:北海道における水田雑草ミズアオイのスルホニルウレア系除草剤抵抗性,雑草研究,41別(1996),236-237
北海道における水田雑草ミズアオイの雑草害と数種除草剤の効果,雑草研究,42別(1997),162-163
北海道岩見沢市におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性イヌホタルイの出現,雑草研究,43別(1998),36-37

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