大豆における開花期低温抵抗性の機作と検定条件および間接選抜指標


[要約]
既存品種に優る開花期低温抵抗性品種を育成するための検定条件を確立し、有効な間接選抜指標を見出すとともに、抵抗性の機作として受精能力の差異が関係していることを明らかにした。
北海道立十勝農業試験場・研究部・豆類第一科
[連絡先]0155-62-2431
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]豆類
[分類]研究

[背景・ねらい]
平成5年の冷害年に着莢障害が軽微であった品種・系統を用いて、既存品種をしのぐ開花期低温抵抗性品種を開発するために検定条件を再検討し、また、間接選抜による同抵抗性強化の効率化、さらに開花期低温抵抗性機作の解明を行い、耐冷性育種の促進を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. 開花始からの4週間の低温処理:前半2週間15/15℃+後半2週間18/13℃(昼/夜)または全期間18/13℃(昼/夜)と50%遮光を併用する処理において、開花期低温抵抗性を異にする品種間の差が明瞭であり、かつ既存の抵抗性強の品種においても着莢障害が認められ、本処理が抵抗性強化のための新たな検定条件として効果的である(表1)。
  2. 開花期の早晩性を指標として選抜を行った結果、開花が遅い個体を選抜した系統群は、低温処理試験における莢数の無処理区対比が高く、開花期の早晩性による選抜が開花期低温抵抗性の間接選抜として有効である(表2)。
  3. 各花の低温下での受精率の差異が、開花期低温抵抗性の強弱の評価と一致し、低温下での受精能力が開花期低温抵抗性機作の一因である(表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 新たな検定条件を用いて開花期低温抵抗性検定を行う。
  2. 開花期低温抵抗性検定では、遮光処理を併用する。
  3. 間接選抜指標を耐冷性育種に導入する。

[平成10年度北海道農業試験会議成績における課題名及び区分]
課題名:大豆における開花期低温抵抗性の機作と検定条件および間接選抜指標(研究参考)

[その他]
研究課題名:豆類(大豆、小豆)の耐冷性向上試験(1)大豆の着莢障害抵抗性品種の開発
予算区分 :道費
研究期間 :平成10年度(平成6〜10年)
発表論文等:黒崎英樹,松川勲,大豆の障害型冷害に関する研究 第1報 育種・作物学会北海道談話会会報35:108-109 (1994),第2報 同会報36:110-111 (1995),第3報 同会報37:148-149 (1996) 

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