矮性、多収、大粒、良質のいんげん(中長鶉類)新品種候補「十育D10号」
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[要約]
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いんげん「十育D10号」は中長鶉類に属し、現在の栽培品種「福粒中長」の草型が半蔓性なのに対し矮性で、草丈が低い。「福粒中長」に比べ成熟期は4日程度早く、収量は7%優り、百粒重はやや大きい。
北海道立十勝農業試験場・研究部・豆類第二科
[連絡先]0155-62-2431
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]豆類
[分類]普及
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[背景・ねらい]
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中長鶉類は北海道で500ha程度栽培されているが、栽培品種のほとんどは半蔓性の「福粒中長」である。「福粒中長」は生育中期以降蔓が絡まり合うため管理作業が行いにくく、倒伏しやすくなるため雨害等により品質が低下すること、及びインゲン菌核病等の発生を助長するなど他の矮性品種に比べ栽培しにくい品種である。そこで金時類のような矮性の中長鶉類の育成が望まれていた。
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[成果の内容・特徴]
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「十育D10号」は「福粒中長」に比べ草型が矮性で草丈が低く、倒伏程度が少ない。
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「十育D10号」は「福粒中長」に比べ成熟期は4日程度早く、7%多収である。
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「十育D10号」の子実は「福粒中長」に比べ大粒で、粒形は豊満で「福粒中長」と同じ楕円体である。
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病害抵抗性については「福粒中長」と同様で、インゲン黄化病抵抗性は"やや弱"で、インゲン炭そ病抵抗性はRace7に対し"弱"である。
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煮豆に加工した食味試験では、煮豆の粘りが強く、味、総合評価では好まれる傾向であった。
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[成果の活用面・留意点]
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大粒であるので、脱穀機の回転数を調節し損傷粒の発生を避ける。
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極端な多肥栽培では成熟期における葉落ちが不良になることがある。
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インゲン黄化病抵抗性は"やや弱"なので防除を徹底する。
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その他の病害防除は従来品種に準じて行い、播種時期および肥培管理は金時類品種に準じて行う。
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[具体的データ]
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表1、表2、表3、表4
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[その他]
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研究課題名:菜豆新品種育成試験
予算区分 :道単
研究期間 :平成10年度(平成2年〜平成10年)
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