スワンソン式ピン型ミキサーを使用した製パン性の簡易評価法の開発


[要約]
少量試料しか得られない初中期世代コムギ系統の製パン性評価に使用できる回転数可変型に改造したピン型ミキサーによる簡易評価法であるコムギ粉35gの生地形成時のピークタイムとブレイクダウンは、パン比容積と高い相関がある。
北海道農業試験場・畑作研究センター・麦育種研究室
[連絡先]0155-62-9210
[部会名]作物 流通利用
[専門]育種
[対象]麦類
[分類]研究

[背景・ねらい]
製パン試験はその行程が複雑なために再現性のある結果を得るには熟練を要する。また多量のコムギ粉を必要とするために育成系統の製パン性の評価はこれまで生産力検定予備試験前後の後期世代になって行われてきた。育種効率向上のためには、初中期世代の系統について製パン試験を行わなくても少量のコムギ粉で製パン性を評価する必要があった。従来こうした評価にはミキソグラフが使用されてきたが、CanadaExtraStrongClassのような非常に強い物性をもつコムギの評価は十分ではなかった。そこでスワンソン式ピン型ミキサー(Swanson-workingpintypemixer)を利用してコムギ粉35gのミキシング測定値からパン比容積の推定を行う方法を開発した。

[成果の内容・特徴]
  1. 製パン試験はその行程が複雑なために再現性のある結果を得るには熟練を要する。また多量のコムギ粉を必要とするために育成系統の製パン性の評価はこれまで生産力検定予備試験前後の後期世代になって行われてきた。育種効率向上のためには、初中期世代の系統について製パン試験を行わなくても少量のコムギ粉で製パン性を評価する必要があった。従来こうした評価にはミキソグラフが使用されてきたが、CanadaExtraStrongClassのような非常に強い物性をもつコムギの評価は十分ではなかった。そこでスワンソン式ピン型ミキサー(Swanson-workingpintypemixer)を利用してコムギ粉35gのミキシング測定値からパン比容積の推定を行う方法を開発した。
  2. 製パン性に関連するピークタイムおよびブレイクダウンはミキシング時のピン型ミキサーの電流値から算出する(図1)。
  3. 製パン性に関連するピークタイムは電流値が最大となるまでの時間を示し、ブレイクダウンはピークタイム時の電流値とピークタイム2分後の電流値との差を示す。
  4. ハルユタカ/KatepwaのF7系統を用いた製パン試験でのパン比容積は製パン性に関係するピークタイムおよびブレイクダウンとの相関が高く、ピークタイムが長くブレイクダウンの小さな系統がよく膨らむ傾向にある(図2表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 製パン試験での評価が困難な初中期世代の選抜系統について、その製パン性の推定が可能となる。
  2. 製パン試験はノータイム法で行った結果である。
  3. ミキサーのモーター回転数は標準の71rpm/min(実回転数1420rpm/min,減速比1:20)から150rpm(実回転数750rpm/min,減速比1:5)に高速化したミキサーを用いる。

[その他]
研究課題名:グリアジンおよびグルテニン組成の遺伝的改変による高製パン性品種の育成
予算区分 :総合的開発研究(新用途畑作物)
研究期間 :平成10年度(平成8〜10年)
発表論文等:1.高分子量グルテニンサブユニットの製パン性への影響について,育雑48(別2),1998 2.製パン性の簡易評価法についての比較,育種・作物学会北海道談話会報第39号,1998

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