牧草サイレージおよびとうもろこしサイレージ主体飼養における乳牛の乾物摂取量
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[要約]
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牧草およびとうもろこしサイレージ主体飼養における泌乳安定期の乾物摂取量(DMI)の推定式および泌乳初期の補正係数を提示する。また、牧草サイレージ主体ではDMIは少なく、全飼料中乾物率は50%以下であってもDMIへの影響が少ない。
北海道立根釧農業試験場・研究部・酪農第一科北海道立新得畜産試験場・家畜部・酪農科
[連絡先]01537-2-200401566-4-5321
[部会名]畜産・草地(畜産)
[専門]飼育管理
[対象]乳用牛
[分類]指導
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[背景・ねらい]
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北海道のフリーストール飼養では、主要な自給粗飼料は牧草サイレージおよびとうもろこしサイレージである。そこで、牧草サイレージ主体の根釧農試およびとうもろこし+牧草サイレージ主体の新得畜試の飼養試験成績を取りまとめ、高泌乳牛群をサイレージ主体で飼養する場合の飼料設計の基準となる乾物摂取量(DMI)を示すとともにDMIに及ぼす要因を検討する。供試牛は泌乳前期牛:根釧102頭、新得147頭、乾乳牛:根釧98頭である。
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[成果の内容・特徴]
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分娩後11〜15週のDMIは、根釧、新得各々21.7、23.8kg/日、DMI/体重は3.37、3.76%であり(表2)、泌乳安定期のDMI推定式は日本およびNRC飼養標準で採用されている体重およびFCMを独立変数として、次のように作成している。
根釧:DMI(kg/日)=0.02034×体重(kg)+0.31612×FCM(kg/日)-2.2288(R2=0.55)
新得:DMI(kg/日)=0.01454×体重(kg)+0.37211×FCM(kg/日)+1.9122(R2=0.63)
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泌乳初期(分娩後1〜10週)におけるDMI実測値は、各場およびNRC飼養標準の推定値よりも低く(図1)、各推定式を用いる場合の補正係数(実測値/推定値)は表3の通りである。
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牧草サイレージ主体で飼養された根釧では、全飼料中NDF含量が39.9%と高く、新得よりDMIで2.1kg、DMI/体重で0.39ポイント低く、NDF含量がDMIに影響したと考えられる。
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サイレージ主体飼養では、全飼料中乾物率が50%を下回るとDMIが低下するといわれる。しかし、新得では全飼料中乾物率が43.1%と低いにもかかわらず、乾物率とDMIとの相関は低く(図2)、分娩後11〜15週のDMI実測値もNRCの乾物要求量を上回っている。これらから、サイレージ主体飼養で乾物率が50%以下であっても、DMIへの影響は少ない。
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根釧における乾乳期(分娩前4〜3週)のDMIは11.5kg/日、DMI/体重は1.62%であるが、体重の寄与率(R2=0.05)は低い。また、分娩前2および1週にはDMIが低下するといわれるが、本成績では各々12.5、11.5kg/日と低下はみられていない(図3)。
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[成果の活用面・留意点]
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乾物摂取量の推定は、基本的には飼養標準に基づき行い、サイレージ主体飼養の場合に本成績を参照する。
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[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分]
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課題名:フリーストール経営における飼養管理と経済性評価(指導参考)
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[具体的データ]
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表1)
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[その他]
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研究課題名:大規模土地利用型酪農における省力的群管理技術の開発
予算区分 :国費(地域基幹)
研究期間 :平成10年度(平成6〜10年)
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