オランダおよび国内における搾乳ロボット利用実態と導入のための諸条件
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[要約]
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オランダの導入農家では搾乳ロボットを24時間稼働させることによって労働の軽減と乳量増加を達成している。搾乳ロボット導入のためにはワンウエイカウトラフィックの導入や給与飼料の変更、衛生的な管理が必要である。
北海道立根釧農業試験場・研究部・酪農第一科、酪農施設科、経営科
[連絡先]01537-2-2004
[部会名]畜産・草地(畜産)総合研究(農業経営)
[専門]機械
[対象]乳用牛
[分類]指導
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[背景・ねらい]
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オランダおよび国内における搾乳ロボットの利用実態の調査を基に、国内における搾乳ロボット導入条件や導入時の問題点を整理する。
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[成果の内容・特徴]
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オランダの導入農家および研究機関の利用実態
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平成10年7月4日〜7月19日(16日間)にオランダ国内の搾乳ロボット導入農家9戸、研究機関2カ所において搾乳ロボットの利用状況、牛舎レイアウト、乳生産量等の調査を行った。
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プロライオン社とリリー社の2社の搾乳ロボットがオランダを中心として実際の酪農家にそれぞれ100台以上導入されている。
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調査農家の305日成績では、乳量は8,078〜10,100kgであり、搾乳ロボット導入後、乳量は増加し、乳成分は変化しないとする農家が多かった(表1)。
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搾乳ロボット導入によって1日の搾乳作業に係わる時間は1〜2時間となり、内容はコンピューター操作や自動搾乳できなかった牛の対応、メンテナンス作業に代わる(表2)。
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国内の導入農家および研究機関の利用実態
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国内の搾乳ロボット導入農家5戸、研究機関6カ所において搾乳ロボットの利用状況、牛舎レイアウト、乳生産量等の調査を行った。
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搾乳ロボットでティートカップの自動装着ができない牛と自動装着できる牛とを分けて2群管理している農家や定時に3回搾乳を行っている農家があり、オランダの導入農家と利用方法が異なっている。
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乳ロボットの導入条件(表3)
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搾乳ロボット導入前には乳頭・乳房形状を測定し、不適応牛を事前に淘汰する必要がある。
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自由搾乳を行う場合には、ワンウエイカウトラフィックの導入や通路の除糞の無人化が必要である。
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導入後の最初の1週間は搾乳監視が必要であり、牛群が完全に順応するのには1ヶ月かかる。
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搾乳ロボット内の濃厚飼料給与が必要となるため、給与飼料の変更が必要となる。
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故障時の販売会社の迅速なサポート体制が整備されていることが必要となる。
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搾乳ロボットでは乳頭洗浄方法も従来の人による搾乳方法と異なるため、乳頭・乳房を汚さない衛生的な環境が必要となる。
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[成果の活用面・留意点]
搾乳ロボットの改良により利用方法、導入条件が大きく変化する可能性がある。
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[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分]
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課題名:オランダおよび国内における搾乳ロボット利用実態と導入のための諸条件(指導参考)
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[その他]
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研究課題名:搾乳ロボットに関する予備的研究
先端システム導入調査研究
予算区分 :道費
研究期間 :平成10年度(平成9〜10年)
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