収量性・永続性に優れるペレニアルライグラス新品種「天北2号」
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[要約]
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「天北2号」は晩生で、収量性・永続性・シロクローバとの混播適性に優れる。越冬性はやや優れ、春早い時期からの放牧が可能である。北海道北部、中央部、南部に適応する。
北海道立天北農業試験場・研究部・牧草科北海道立滝川畜産試験場・研究部・草地飼料作物科
[連絡先]01634-2-21110125-28-2211
[部会名]畜産・草地
[専門]育種
[対象]牧草類
[分類]普及
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[背景・ねらい]
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ペレニアルライグラスは北海道の多雪地帯において、集約放牧用草種としての有効性が認められ、栽培法・利用技術が明らかにされてきており、栽培面積の増加は著しく、酪農家の意向調査においても今後増やしたい放牧用草種のトップに位置づけられている。現在ペレニアルライグラスの北海道優良品種は3品種で、酪農家の選択メニューが限られるばかりでなく、収量性、越冬性、永続性等の一層の改良が待たれていた。
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[成果の内容・特徴]
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「天北2号」は「ヤツガネ」、「フレンド」、「TetraploidHaytype」、「Agresso」由来選抜個体の多交配後代である5栄養系の組み合わせによる合成品種である。
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「フレンド」と比べて、収量性は勝り、永続性はやや勝る。季節生産性は春季は勝り、夏季および秋季はやや勝る(表1)。
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「フレンド」と比べて、越冬性はやや勝り、萌芽良否および早春の草勢は勝る(表2)。
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早晩性は晩生に位置づけられる(表2)。
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定着時および播種年の生育は「フレンド」と比べてやや緩慢である(表1、表2)。
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冠さび病、網斑病、斑点病、葉腐病の罹病程度は「フレンド」と同程度である(表2)。
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家畜の採食程度および兼用利用適性は「フレンド」と同程度である(表3)。
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「フレンド」と比べ、シロクローバとの混播条件下の合計乾物収量はやや勝り、シロクローバ率の変動が小さく、混播適性は優れる(表3)。
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インビトロ乾物分解率(IVDMD)は「フレンド」と同程度(表3)で、他成分含量も「フレンド」と同程度である。
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[成果の活用面・留意点]
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普及対象地域は北海道北部、中央部および南部である。
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土壌凍結地帯での栽培をさける。
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利用方法は放牧利用とするが、1番草は採草利用できる。
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[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分]
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課題名:ペレニアルライグラス新品種候補「天北2号」(普及奨励)
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[その他]
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研究課題名:ペレニアルライグラス新品種育成試験 ペレニアルライグラス系統の地域適応性および特性検定試験
予算区分 :道費
研究期間 :平成10年度(平成4〜 )
平成10年度(平成7〜10年)
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