イネミズゾウムシ・アカヒゲホソミドリメクラガメの防除要否判定モニタリング法の改良


[要約]
イネミズゾウムシ成虫密度の調査適期は積算温度(13.8℃以上)で70〜100日度の期間である。調査株数50株で食害株率70%に達するか否かで防除要否を判定する。また、アカヒゲホソミドリメクラガメは、好適植物の多い場所で固定して調査する。水田内では任意の場所でよい。
北海道立上川農業試験場・研究部・病虫科北海道立中央農業試験場・稲作部・栽培第二科
[連絡先]0166-85-22000126-26-1518
[部会名]生産環境
[専門]作物虫害
[対象]稲類
[分類]指導

[背景・ねらい]
クリーン農業では病害虫の発生に応じた防除を行うこと、すなわち発生対応型防除が基本である。そこで、イネミズゾウムシについて簡便な防除要否判定法を開発する。また、アカヒゲホソミドリメクラガメ(以下、カメムシと略記)について、捕虫網すくい取り調査の場所の選定方法と調査場所における調査内容を具体化し、モニタリング精度向上と省力化を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. イネミズゾウムシ
    1. 成虫密度の調査適期は本田での成虫発生最盛期であり、4月1日からの積算温度(13.8℃以上)で70日度〜100日度の期間にあたる。
    2. 要防除水準を成虫食害株率70%と設定する(図1)と、必要調査株数は50株となる(水田中央部の畦畔から反対側の畦畔まで、等間隔に5カ所で10株ずつ、合計50株調査)。
    3. あらかじめ、畦畔側の10列(1列1株、合計10株)の成虫の食害状況を把握して、10株中1株でも食害を受けていない場合は、要防除水準に達していないので上記モニタリング調査を省略できる。あらかじめ、畦畔側の10列(1列1株、合計10株)の成虫の食害状況を把握して、10株中1株でも食害を受けていない場合は、要防除水準に達していないので上記モニタリング調査を省略できる。
  2. カメムシ
    1. 畦畔・農道等では、カメムシは好適植物(スズメノカタビラ等)の多いところに多い(図2)ので、発生モニタリング調査(捕虫網すくい取り)は、好適植物の多いところを選び、場所を固定して行うのが良い。
    2. 水田内では、カメムシはランダムに存在する(図3)ので、発生モニタリング調査(捕虫網すくい取り)は、任意の場所を選んで行えば良い。

[成果の活用面・留意点]
  1. イネミズゾウムシ
    1. 発生対応型防除を実践するために、簡易モニタリング法として、生産現場で活用する。
    2. 成虫発生最盛期の有効積算温度による予測法は、発生予察情報の精度向上に活用する。
  2. カメムシ
    1. 発生対応型防除および発生予測システムを実践する際に活用する。
    2. 高度な減農薬法および簡便なモニタリング法を開発する際の資料とする。

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分]
課題名:水稲害虫の防除要否判定のための発生モニタリング法(指導参考)

[その他]
研究課題名:水稲害虫の防除要否判定のための発生モニタリング法〜イネミズゾウムシ・アカヒゲホソミドリメクラガメ〜
予算区分 :道費
研究期間 :平成10年度(平成8〜10年)

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