キャベツの窒素3割減肥法


[要約]
キャベツの収量を確保し、環境への負荷を軽減するための窒素3割減肥法の各作型における施肥位置と施肥配分は、1.晩春まき:作条施用−基肥重点(基肥11.0、分施4.4)、2.初夏まき:作条施用−等量配分(各7.7kgN/10a)である。
北海道立中央農業試験場・環境化学部・土壌生態科
[連絡先]01238-9-2001
[部会名]生産環境
[専門]肥料
[対象]葉茎菜類
[分類]指導

[背景・ねらい]
キャベツは野菜の中でもとりわけ多肥であり、施肥に伴う窒素成分の蓄積や圃場外への流亡が環境保全の面から問題となる恐れがある。そこで、キャベツの従来と同等の収量を確保し、環境への負荷を軽減するための施肥位置および分施法改善による窒素3割減肥技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 窒素3割減肥を行う場合の望ましい施肥法は、火山性土、沖積土を通じて、晩春まき栽培では作条施用−基肥重点、初夏まき栽培では作条施用−等量配分である(表1)。これらの施肥法により、従来の施肥法の全面全層−施肥標準に比べてほぼ同等の収量が確保できる。
  2. 作条施用減肥系列では、根が最も密に分布している近傍に十分な窒素が存在し(図1)、窒素の供給と吸収が円滑に行われる。なお、作条施用にあたり、幅20cm程度に条施し、根鉢との間に3cm程度の間土をする。
  3. 初夏まき栽培では降雨の多い時期に遭遇することから(表2)、基肥で施用した窒素の溶脱が晩春まき栽培に比べて多くなり、基肥重点では窒素が不足する。そのため、初夏まき栽培では、結球始期の分施窒素量を多くした等量配分の方が収量確保の上で望ましい施肥配分となる。
  4. 作条施用減肥系列の施肥窒素利用率は、3カ年を通じて、いずれも対照区に比べて高い(表1)。そのため、作条減肥系列の窒素負荷量(窒素施肥量−見かけの施肥窒素吸収量)は少なく、負荷軽減効果が認められる(表3)。従来の施肥法に対する窒素負荷軽減量は6kgN/10a程度であり、これはほぼ減肥した窒素量に相当する。このことから、環境への窒素負荷を軽減するためにも作条施用は有効である。
  5. 窒素3割減肥を目的とした晩春および初夏まきキャベツの窒素施肥法の特徴を表4に示す。

[成果の活用面・留意点]
  1. 栽培品種はサワータイプを対象とする。
  2. 本成果は泥炭土を除く土壌を対象とする。
  3. リン酸、加里の施肥管理は北海道施肥標準に準じて行う。

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分]
課題名:窒素3割減肥を目的としたキャベツの施肥法改善(指導参考)

[その他]
研究課題名:野菜の施肥法による減化学肥料栽培技術の開発
予算区分 :道費
研究期間 :平成10年度(平成8〜10年)

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