食用ゆりの生理障害(あんこ症)の発生要因と当面の対策
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[要約]
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食用ゆりの生理障害であるあんこ症は、りん茎(球)肥大の中後期におけるカルシウム、ホウ素の吸収不足によって発生する。当面の対策として、カルシウム、ホウ素の補給、作土の保水性向上、培土の改良による根発達促進、適正施肥が有効である。
北海道立花・野菜技術センター研究部土壌肥料科
[連絡先]0125-28-2800
[部会名]生産環境
[専門]肥料
[対象]他の葉茎菜類
[分類]指導
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[背景・ねらい]
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最近、本道の特産品である食用ゆりの内部に暗褐色の斑紋が生じる一般にあんこ症と呼ばれる生理障害が発生し、商品価値を著しく低下させ、問題になっている。そこで、発生要因について解析し、軽減策を図る。
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[成果の内容・特徴]
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現地調査結果では、あんこ症の発生圃は3ヶ年の平均で33.5%である。
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発生圃の株は非発生圃の株に比較して草丈、りん茎(球)が優り収穫期のあんこ発生球はカルシウム、ホウ素の含有率が低い(表1、図1)。
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発生圃土壌中の交換性カルシウム、熱水抽出性ホウ素含量は低い圃場が多かった(表3)。
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発生圃土壌の容積重は小さく、気相率が多く、砕土性では径2mm以上が多く、保水性も低い(表2)。
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当面の対策としては、土壌診断に基づくカルシウム、ホウ素の補給、砕土性・覆土・培土の改善による保水性の向上、適正施肥、旱魃時の潅水が挙げられる。
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[成果の活用面・留意点]
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本成績は、実態調査に基づく当面の対策である。
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秋の植え付け圃場は、排水性を高め砕土性の向上を図る。
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ホウ素資材の施用に当たっては、過剰害にならぬよう配慮する。
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[平成10年度北海道農業試験会議における課題名及び区分]
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課題名:食用ゆりあんこ症の発生要因とその軽減策(指導参考)
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[その他]
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研究課題名:農作物の突発性生理障害診断
予算区分 :道費
研究期間 :平成10年(昭和57年〜)
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