夏どりキャベツの内部成分の変動要因と指標値の設定


[要約]
夏どりキャベツのビタミンC含有率は、過剰な窒素施用を控え、収穫時期を早めて小型な個体を収穫することにより向上でき、改善指標値を35mg/100gに設定する。ビタミンU含有率は、7,8月どり作型で高く、結球重の増加により上昇する。
北海道立中央農業試験場・農産化学部・品質評価科
[連絡先](01238)9-2001
[部会名]流通利用
[専門]食品品質
[対象]葉茎菜類
[分類]指導

[背景・ねらい]
野菜の内部成分に対する関心が高まり、多くの情報が求められているが、これらの含有率は品種や栽培環境により変動する。ここでは、キャベツの主要な内部成分含有率の実態と変動要因について明らかにするとともに、ビタミンC含有率について指標値を示す。

[成果の内容・特徴]
  1. 現地の夏どりキャベツの内部成分含有率(新鮮重100gあたり)の平均値は、ビタミンC34.3mg、全糖2.75g,ビタミンU2.89mg、食物繊維1.61gであった。
  2. 生育日数の経過に伴い、結球中のビタミンCおよび食物繊維含有率は減少し、全糖含有率は漸増する(図1)。
  3. 結球重の増加によりビタミンC含有率は低下し、ビタミンU含有率が高まる(図2)。
  4. 窒素施用量が多いほど、結球重およびビタミンU含有率は高まり、ビタミンC、全糖および食物繊維含有率は低下する(表1)。また、ビタミンU含有率は作型による変動が大きく、9、10月どりよりも7、8月どりで高まる。
  5. 内部成分含有率を高めるための各種要因(収穫時期、窒素施用量、結球重、作型)についての対応は表2のように策定できる。
  6. 現地および各種栽培試験のキャベツ477点のビタミンC含有率の平均値35mgを、当面の7〜9月どりキャベツのビタミンC含有率の改善指標値35mgとする。
  7. キャベツのビタミンC含有率は、メタリン酸溶液中での磨砕抽出によるRQフレックスの測定値が35以上の時、指標値を上回ると簡易に判定できる。

[成果の活用面・留意点]
  1. ビタミンC含有率の指標値は、技術開発上の最低値として利用を図る。

[平成10年度北海道農業試験会議における課題名および区分]
課題名:夏どりキャベツの内部成分の変動要因と指標値の策定(指導参考)

[その他]
研究課題名:クリーン農産物の栄養性と機能性成分の評価
予算区分 :道費
研究期間 :平成10年度(平成8〜10年度)
発表論文等:小宮山誠一,古館明洋,小野寺政行,目黒孝司,キャベツの栄養性成分に及ぼす窒素供給形態の影響,土肥誌要旨集,第45集,1999

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