外観品質に優れ落葉病・萎凋病抵抗性の極大粒あずき新品種候補系統「十育143号」
- [要約]
- あずき「十育143号」はアズキ落葉病、萎凋病抵抗性の大納言小豆系統であり、「アカネダイナゴン」より30%以上子実が重い極大粒で種皮色が明るく、外観品質に優れる。また「ほくと大納言」より雨害による濃赤粒の発生が少ない。
北海道立十勝農業試験場・作物研究部・小豆菜豆科
[連絡先]0155-62-2431
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]豆類
[分類]普及
- [背景・ねらい]
- 北海道の大納言小豆として、現在「アカネダイナゴン」と「ほくと大納言」が栽培されている。しかし、「アカネダイナゴン」は高温年には小粒化するため、大納言小豆が不足し価格の高騰をもたらしている。一方「ほくと大納言」は、収穫前の降雨により濃赤粒が発生し、外観品質を著しく損なう場合がある。このため、極大粒で、雨害による濃赤粒の発生が少ない大納言小豆品種が要望されていた。
- [成果の内容・特徴]
- 平成4年に十勝農試で交配(「92089(F6)」×「十系564号」)し、以後選抜、固定を行い、平成12年はF10である。
- 「アカネダイナゴン」より百粒重が30%以上重い極大粒で種皮色が明るく外観品質が優る。
- 「ほくと大納言」より多収で、雨害による濃赤粒の発生が少ない。
- アズキ落葉病、萎凋病抵抗性を持つ北海道で初めての大納言小豆系統である。
- [成果の活用面・留意点]
- 北海道の道北、道央、道南及び十勝の大納言栽培地帯の「アカネダイナゴン」、「ほくと大納言」の一部に置き換えて普及する。
- アズキ茎疫病に抵抗性を持たないので、茎疫病発生圃場での栽培は避けるとともに排水対策に努める。
- アズキ落葉病に抵抗性を持つが、栽培に当たっては適正な輪作を行う。
- 雨害による濃赤粒の発生が「ほくと大納言」より少ないが、良質安定生産のため刈り遅れを避け適期収穫に努める。
- 平成12年度北海道農業試験会議における課題名及び区分
- 課題名:あずき新品種候補系統「十育143号」(普及奨励)
- [具体的データ]
- 表1
- 表2
- 表3
- [その他]
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研究課題名:小豆新品種育成試験
予算区分 :指定試験
研究期間 :平成12年度(平成4年〜平成12年)
研究担当者:村田吉平、藤田正平、青山 聡、千葉一美、松川 勲、島田尚典、南 忠
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