積雪制御装置による秋播小麦の耐雪性・耐凍性検定法


[要約]
覆雪期間の大幅な延長と寒気暴露処理ができる積雪制御装置を用いて、秋播小麦の耐雪性と耐凍性の検定が可能である。
北海道農業試験場・畑作研究センター・麦育種研究室
[連絡先]0155-62-9210
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]麦類
[分類]研究
[背景・ねらい]
寒地の小麦栽培においては、冬期の積雪や凍結環境に対する耐性、すなわち耐雪性と耐凍性の向上が重要である。育種ではこれらの耐性検定は通常多雪地帯や極寒地帯に検定圃を設け自然環境を利用して行うため、年によっては適切な評価が得られないことがある。そこで積雪の量や期間を制御する積雪制御装置の検定条件、耐雪性、耐凍性評価の可否を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 積雪制御装置は、レール上を可動する天蓋と人工降雪機及び冷水漕を有し、初冬時の人工降雪、冬期間における数度の雪盛り、天蓋による積雪排除と融雪遅延で積雪期間(雪害床)と極低温暴露期間(凍害床)を制御できる。(図1表1)。
  2. 覆雪期間171日で雪害被害度が86%、極低温暴露期間27日で凍害被害度が77%であり、耐雪性と耐凍性を同時に検定・評価できる(表1)。
  3. 本装置によれば、圃場条件より安定して耐性検定が可能であり従来の耐雪性圃場検定やLT50による耐凍度検定とほぼ同様な評価結果が得られる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
当装置によって寒地・寒冷地における主要な育成系統の耐性評価が可能であるが、検定床の面積的な制約もあって多数材料を扱う育種選抜には向いていない。
[その他]
研究課題名:寒地向き高品質安定多収小麦品種の育成
予算区分 :経常
研究期間 :平成12年度(平成6年〜15年)
研究担当者:桑原達雄・入来規雄・高田兼則・西尾善太
発表論文等:1)秋播コムギ品種の生理・生態的形質と雪腐病被害との関係、育種学雑誌47:271-277、1997 2)雪害・凍害シミュレーション装置による秋播小麦の耐冬性評価、育種・作物学会北海道談話会報、40:85-86、1999

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