地上部接種によるテンサイ根腐病抵抗性検定法


[要約]
根腐病菌を接種・培養したオオムギ培地の粉末を接種源に用いた地上部接種によるテンサイ根腐病(Rhizoctonia solani)に対する抵抗性検定手法を開発した。本手法では、従来の埋設接種より発病が遅れるが、接種作業の大幅な効率化が図られる。
北海道農業試験場・畑作研究センタ−・てん菜育種研究室
[連絡先]0155-62-9271
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]工芸作物類
[分類]研究
[背景・ねらい]
テンサイ根腐病は局所的に発生する土壌病害とされているが、有効な防除法が無く、耐病性品種の早期育成が望まれている。北農試では、これまで根腐病抵抗性品種の育成に当たり、ほ場において接種源を個体毎に株際に埋設接種し、根部の腐敗程度による発病指数から抵抗性検定を行ってきた。しかし、埋設接種法では、接種作業に要する時間及び労力の負担が大きいため、効率的かつ簡易な手法の開発が求められてきた。そこで、粉末化した接種源を地上部から接種する検定手法の開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 接種源として用いるオオムギ培地乾燥粉末は0.5g/株で十分であり、床土と混和し、発病に適した高温期である7月中旬に、畦単位で接種する(図1表1)。
  2. 本手法は埋設接種法より発病が遅れるが(表1)、品種・系統間差は埋設接種法とほぼ同一精度で、抵抗性の判定が可能である(表2)。
  3. 接種に要する10a当たりの時間は、従来、10人で5時間であったが、本手法により5人で1時間となり、かつ軽労化が図られるとともに、機械接種も可能となる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 根腐病抵抗性品種の育成が促進される。
  2. 接種から検定までに、30日程度要する。
  3. 接種源の流亡及び乾燥防止のため、接種源:床土=1:25で混和し、接種する。
[その他]
研究課題名:研究課題名:てんさい一代雑種育成における選抜及び検定手法の開発
予算区分 :経常
研究期間 :平成12年度(平成10〜12年)
研究担当者:大潟直樹・高橋宙之・田口和憲・田中征勝
発表論文等:テンサイ根腐病抵抗性品種の育成 第2報 オオムギ培地粉末の地上部接種法による根腐病抵抗性検定、
      日本育種・作物学会北海道談話会会報 40、1999

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