ダッタンソバ「北系1号」の特性


[要約]
ダッタンソバ「北系1号」は自殖性で、畑作地帯だけでなく、普通そば(他殖性、虫媒)が栽培できない冷涼な地帯でも栽培できる。普通そばより収量性が高く、機能性成分であるルチン含有量も多いが、子実は小さくて苦みがある。
北海道農業試験場・畑作研究センター・遺伝資源利用研究室
[連絡先]01582-7-2231
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]雑穀類
[分類]研究
[背景・ねらい]
北海道の中でも気象条件や土壌条件が厳しい地域では、畑作物の生産性が上がらないため、酪農などへの転換が進んでいる。これらの地域では、草地を更新する時にてん菜やばれいしょ等の換金畑作物が栽培されているが、さらに特徴ある新規畑作物の導入の要望がある。そこで、機能性成分が多く含まれていて麺や焼き菓子など食品への加工が期待できるダッタンソバの導入と、系統の育成を行う。
[成果の内容・特徴]
  1. 「北系1号」は、旧ソ連の全ソ植物生産研究所より導入した系統(Fagopyrum tataricum. sp. rotundatum、以下MT-1と呼ぶ)より純系選抜した。
  2. MT-1に比べて開花期はほぼ同じであるが、成熟期は2日早い。草丈はやや高いが、千粒重はやや重くて1株稔実数が多いため子実収量は1割以上高く、耐倒伏性も向上している(表1)。
  3. 紋別だけでなく、畑作地帯である芽室においてもMT-1より収量が高い(表3)。ただし、子実の大きさが普通そばより小さいため、千粒重は軽い(図1)。
  4. 窒素施肥量は0.2kg/aを標準する。これ以上施用すると、収量は増加するが倒伏する。また、脱粒は普通そばと同じ程度であるが、収穫適期の判定は普通そばより容易である。
  5. 普通そばの食味試験に準じて行った麺の食味試験では、MT-1より評価はややよかったが、苦みを持つため、キタワセソバと大きな差がある(表2)。
  6. そば粉のルチン含有量は25mg/10g前後で、普通そばの1.3mg/10gを大きく上回っている。
[成果の活用面・留意点]
  1. 機能性成分を活かした利用方法の検討が必要である。
[その他]
研究課題名:厳寒環境における作物反応と良質安定多収技術の確立
予算区分 :経常
研究期間 :平成12年度(平成2年〜12年)
研究担当者:中司啓二、木村正義、川勝正夫
発表論文等:木村正義・中司啓二、ダッタンソバの品種間差異、日本育種・作物学会北海道談話会報 第40巻:121-122(1999)

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