だいこん新品種の特性調査と収穫後に発生する生理障害
- [要約]
- 130品種のだいこんについて特性調査を行い、実際に産地に普及しうる優れた形質を持つ合計29の品種を選定した。「表皮黒変症」は貯蔵温度が16℃以上では3日目以降から発生し、高温になるほど発生程度は進行する。「水浸症」及び「青変症」は20℃前後がもっとも発生しやすく、一般的には貯蔵後3日目以降から症状が確認される。これらの生理障害の発生には明らかな品種間差が認められる。
北海道立十勝農業試験場・作物研究部・てん菜畑作園芸科
[連絡先]0155-62-2431
[部会名]作物
[専門]栽培
[対象]根菜類
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- 民間の種苗会社が開発しただいこんの新品種に関して、外観品質・病害耐性・生理障害耐性に重点を置いた試験を行い、産地における品種選定の資料を得る。さらに、収穫後の貯蔵・流通過程で発生する生理障害の発生要因と品種間差についても検討する。
- [成果の内容・特徴]
- 十勝農試が平成11〜12年に行っただいこんの品種特性調査において、外観品質・収量性に優れた29の品種・系統を選定した結果を表1に示す。これらの品種については、特に抽台・生理障害・病害等について特性の評価を行っている。
- 選果場でのブラシ傷によって発生する表皮黒変症は貯蔵温度が16℃以上では、早い場合には貯蔵後3日目から発生する。貯蔵温度が高いほど発生程度は進行し、着色の程度も濃くなる(表2)。
- 水浸症は20℃がもっとも発生しやすい貯蔵温度であり、これ以上温度が高くなると水浸症状は鈍い赤褐色を帯びる。早い場合には貯蔵後2日目から確認されるが、だいこんが乾燥すると発生が抑制される(表3)。
- 青変症は18〜22℃がもっとも発生しやすい貯蔵温度であり、22℃以上になると発生は減少する。早い場合には貯蔵後3日目から確認されるが、だいこんが乾燥すると発生が抑制される(表3)。
- 表皮黒変症・水浸症・青変症の発生には明らかな品種間差が認められる。
- [成果の活用面・留意点]
- 産地におけるだいこん品種選定時の資料とする。
- 品種特性調査での総合評価には、収穫後に発生する生理障害についての試験結果は含めていない。
- 平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分
- 課題名:だいこんの品種特性及び収穫後に発生する生理障害(指導参考)
- [その他]
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研究課題名:だいこんの品種特性IV(一般特性調査と内部品質及び収穫後に発生する生理障害)
予算区分 :道費
研究期間 :平成12年度(平11〜12年)
研究担当者:西田忠志・黒崎友紀・入谷正樹
発表論文等:
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