四季成り性いちご夏秋どり栽培における高温障害対策
- [要約]
- 四季成り性いちごの夏秋どり栽培においては高温障害が問題となった。すなわち、35℃以上の高温によって花粉の発芽率や雌ずいの受精能力が低下した。夏秋どり栽培における紙マルチ、サニーマルチは、白黒ダブルマルチに比べて地温抑制効果が高く、生育や収量が優れた。
北海道立道南農業試験場・研究部・園芸環境科
[連絡先]0138-77-8116
[部会名]作物
[専門]栽培
[対象]果菜類
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- 四季成り性いちごを用いた北海道の夏秋どり栽培では高品質生産のためにハウスで栽培されているが、高温障害と思われる奇形果(先詰まり)等の発生が問題となっている。そこで、夏秋どり栽培における奇形果の発生原因について調査し、さらに生産安定技術を確立するため高温期における地温抑制、草勢管理について検討する。
- [成果の内容・特徴]
- 35℃以上の高温による奇形果「先詰まり」の発生は、花粉の発芽率の低下と雌ずいの受精能力の低下が一因である(表1、図1)。
- 摘果房終了期を遅らせることで収穫のピークをずらすことができるが、8月上旬から9月上旬には奇形果が発生する場合がある。
- 夏季の露地トンネル内気温は、ハウス内気温と同程度に上昇し、8月中には奇形が多発する。
- 紙マルチ、サニーマルチ(アルミ蒸着光反射型マルチ)は白黒ダブルマルチに比べて、地温抑制効果が顕著である(図2)。
- 紙マルチとサニーマルチ区では草丈、葉数、果房数が大きく、平均1果重の差は認められなかったが多収である(表2)。
- [成果の活用面・留意点]
- 本成果は夏秋どり栽培における高温障害対策の基礎資料になる。
- 紙マルチ、サニーマルチ栽培では、繁茂しやすいので古葉を摘み取る。
- 本作型では着果後には液肥等による追肥を行い、草勢を維持する。
- 平成12年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
- 課題名:いちご夏秋どり栽培における高温障害対策(指導参考)
- [その他]
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研究課題名:いちご夏秋どり栽培における高温障害対策
予算区分 :道費
研究期間 :平成12年(平成12年)
研究担当者:福川英司、中住晴彦、阿部珠代
発表文献等:
1.夏秋どりいちごの栽培技術(第1報)芽数の調整と収量性・果実品質、北海道園芸研究談話会報(印刷中)。
2.夏秋どりいちごの栽培技術(第2報)マルチの違いが果実品質・収量性に及ぼす影響、北海道園芸研究談話会報(印刷中)。
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