授乳母豚に対する高蛋白質飼料の給与効果
- [要約]
- 授乳母豚のCP摂取の増加に伴い母豚および哺乳子豚への窒素蓄積量は増加した。哺乳豚の一腹期待増体重を2kg/日としたときの母豚用飼料のCP要求量は17.4%と推定された。母豚へのCP17%飼料給与は、CP15%飼料に比較して哺乳子豚の発育が高まった。
北海道立畜産試験場・家畜生産部・養豚科
[連絡先]01566-4-5321
[部会名]畜産・草地(畜産)
[専門]動物栄養
[対象]豚
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- 授乳期間における蛋白質の出納を調査し、授乳豚の蛋白質要求量を推定するとともに、高蛋白質含量飼料給与の哺乳子豚の発育への影響を調査する。
- [成果の内容・特徴]
- 母豚(W、初産・2産)の粗蛋白質摂取量と母豚および子豚への窒素蓄積量の関係を回帰式により求めた。Y:窒素蓄積量(g/3週間)、CP:粗蛋白質摂取量(kg/3週間)
総窒素蓄積量 Y= 99.24×CP−316.6 R2=0.87 RSE=119.2
子豚窒素蓄積量 Y= 56.56×CP+ 42.0 R2=0.49 RSE=179.9
母豚窒素蓄積量 Y= 42.68×CP−358.6 R2=0.39 RSE=166.0
- 授乳期母豚の窒素摂取量の増加に伴い子豚の日増体重は高まった(R2=0.50)。哺乳頭数10頭で期待増体量を2kg/日とした場合、これに必要な母豚CP摂取量は0.83kg/日と推定され、母豚の飼料摂取量が4.76kg/日(100kg/3週間)のときの飼料CP含量は17.4%
必要である(図1)。
- 授乳期の母豚(大ヨークシャー、初産および2産)に、CP含量15%、17%、20%の飼料を給与した時の哺乳子豚の増体重は、有意な違いはなかったが、15%飼料に比較して17%または20%飼料給与で高くなる傾向にあった(表1)。
- 母豚飼料摂取量に対する哺乳子豚の日増体重の回帰において、CP17%飼料給与時の回帰の高さは、CP15%飼料給与時に比較して有意に高く、飼料摂取量が同等の条件では15%飼料に比較して17%給与時の子豚の発育は高まった(図2)。
- [成果の活用面・留意点]
- 試験成果は、初産および2産の母豚に対する授乳期用飼料の開発に活用する。
- 本試験の飼料の設計はLys、Met、Thrの比率を同等にしたものである。
- 平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分
- 課題名:授乳母豚に対する高蛋白質飼料の給与効果(指導参考)
- [その他]
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研究課題名:授乳母豚に対する高蛋白質飼料の給与効果
予算区分 :受託
研究期間 :平成12年度(平成9〜11年)
研究担当者:山田 渥・米道裕彌・梶野清ニ・森嵜七徳・小泉 徹・内藤 学・山崎 昶・川崎 勉
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