免疫クロマトグラフィー法による牛ロタウイルス検出キットの有用性
- [要約]
- 免疫クロマトグラフィー法とラテックス凝集法による糞便中牛ロタウイルス検出結果の一致率は、ロタウイルス実験感染子牛において100%、野外での下痢発症子牛において83.8%であった。免疫クロマトグラフィー法による牛ロタウイルス検出キットは簡便で臨床現場での迅速診断法として活用できる。
北海道立畜産試験場・畜産工学部・感染予防科
[連絡先]01566-4-5321
[部会名]畜産・草地(畜産)
[専門]診断予防
[対象]家畜類
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- 近年、畜産農家一戸あたりの家畜飼養頭数が増大し、感染症の増加が問題となっているため、臨床現場における迅速な病原学的診断が重要視され、臨床獣医師が検査を行うことが多くなっている。これまでは、子牛下痢症の原因となるロタウイルスの検索にはラテックス凝集反応に基づいた人体用ロタウイルス検出キット(ラテックス凝集法)が使用されていたが、Sinovus社の開発した動物用ロタウイルス検出キットは免疫クロマトグラフィー法に基づいた診断キットで、操作が簡便なため臨床現場での使用に適していると考えられる。そこで、ロタウイルス実験感染子牛および野外での下痢発症子牛の糞便中ロタウイルスを本キット(免疫クロマトグラフィー法)で検出し、ラテックス凝集法と比較し、本キットの有用性を検討する。
- [成果の内容・特徴]
- 牛ロタウイルス実験感染子牛において、免疫クロマトグラフィー法とラテックス凝集法による糞便中ウイルスの検出時期は一致した。ウイルス投与後12時間〜3日目から子牛糞便中にウイルスが検出され、ウイルスの排泄は3〜5日間持続した。陽性と判定された検体はすべて電顕法でロタウイルス粒子が確認された(表1)。
- 野外での下痢発症子牛において、免疫クロマトグラフィー法とラテックス凝集反応法による糞便中ロタウイルスの検出結果の一致率は83.8%であった(表2)。
- 免疫クロマトグラフィー法による牛ロタウイルス検出キットは、操作が簡単で総検査時間も短く、検査室以外の場所でも使用可能である(表3)。
- [成果の活用面・留意点]
- 免疫クロマトグラフィー法に基づいた本キットは子牛糞便中のロタウイルスを簡便に検出する方法として有用であり、臨床現場での迅速診断法として活用できる。
- 平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:免疫クロマトグラフィー法による牛ロタウイルスの簡易検出法(指導参考)
- [その他]
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研究課題名:免疫クロマトグラフィー法による牛ロタウイルスの簡易検出法
予算区分 :受託
研究期間 :平成11年度
研究担当者:小原潤子・平井綱雄・寒河江洋一郎・森 清一
発表論文等:イムノクロマトグラフィー法によるウシロタウイルス検出キットの有用性、北獣会誌、44(7)、33、2000.(講演要旨)
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