アルファルファ単播草地の春造成のための除草剤処理同日播種法


[要約]
アルファルファ単播草地の春造成において、早春に播種床整備後30〜40日間放置してからグリホサート系除草剤の処理と同日にアルファルファを播種することにより、造成時の雑草発生を低く抑えることができ、造成初年目に400kg/10a程度のアルファルファ乾物収量が期待できる。
北海道農業試験場・総合研究部・総合研究第3チーム
        ・草地部・草地管理・地力研究室
[連絡先]0155-62-9286
     011-857-9235
[部会名]畜産・草地(草地)
[専門]栽培
[対象]牧草
[分類]指導
[背景・ねらい]
高泌乳牛用粗飼料としての評価が高いアルファルファの飼料特性を有効に利用するためには、単播での利用が適している。しかし、単播草地の造成、特に春造成は、雑草発生が多くリスクが高い。一方、播種床整備後、主要雑草が出芽するまで放置し、グリホサート系除草剤を播種前に処理する方法は、造成初期の雑草抑制に有効であることが示されている。そこで、この方法を基に造成初年目の1番草から雑草が少ないアルファルファ単播草地の造成方法を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 播種床放置期間における雑草の発生パターンが雑草の種類によって異なるため、除草剤処理の効果は放置期間の長さによって差が生じる。イヌタデ、エゾノギシギシは早期に出芽するため放置期間30日によってその後の再発生が低く抑えられるが、シロザ、イヌビエでは出芽が遅く、再発生を抑えるには40日の放置期間が必要である(表1)。このため、早春に播種床を整備する場合、播種床放置期間は、30〜40日が適当である。
  2. 土壌の種類によっては播種床の放置期間中に表層土壌のクラスト化が進行し、播種時の覆土不良等による出芽阻害が懸念される(表2)。このような土壌では、出芽率を高める方法として、播種時に、ウィーダー(除草機)のスプリングタイン等を用いて、播種床表層を極浅く破砕し、覆土・鎮圧を行うことが有効である(表3)。
  3. 除草剤処理後も雑草の再発生が予想されるため、播種作業は、除草剤処理と同日、あるいは出来る限り早く行う。
  4. 以上の造成法(除草剤処理同日播種法、)を用いてアルファルファ単播草地を造成することにより、アルファルファ単播草地造成時の雑草発生は、除草剤を用いない方法に比べ大幅に抑制でき、造成初年目(2回刈り)に400kg/10a程度の乾物収量が期待できる(表4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 北海道におけるアルファルファ単播草地の春造成に活用できる。
  2. この成果は火山性土壌で得られたものである。
[その他]
研究課題名:アルファルファを導入した短期輪作技術の開発
予算区分 :地域総合
研究期間 :平成12年度(平10年〜平14年)
研究担当者:池田哲也・高橋 俊・小川恭男・糸川信弘
発表論文等:アルファルファ単播草地の栽培技術の確立に関する研究,1〜3報.
      北海道草地研究会報32号(1998),33号(1999),34号(2000).

戻る