「ほしのゆめ」における斑点米カメムシの要防除水準


[要約]
「ほしのゆめ」は、カメムシの発生密度に対する斑点米の生じやすさが他の品種の約2倍であるため、その要防除水準は他品種の1/2である。乳熟期以降の要防除水準は、捕虫網20回振りあたり1頭とするのが適当である。
北海道立中央農業試験場・クリーン農業部・総合防除科
[連絡先]01238-9-2001
[部会名]生産環境
[専門]作物虫害
[対象]稲類
[分類]指導
[背景・ねらい]
近年、カメムシ(アカヒゲホソミドリカスミカメ)によって起こる斑点米が問題となっているが、同じカメムシの発生密度でも斑点米の発生には品種間差が見られ、現在の基幹品種「ほしのゆめ」に対して要防除水準(薬剤防除が必要なカメムシ発生密度の臨界値)の設定が必要となった。このため、既に要防除水準が設定されている「ゆきひかり」、「きらら397」と対比する形で「ほしのゆめ」の要防除水準の設定を行う。
[成果の内容・特徴]
  1. X軸に30日間の成幼虫数、Y軸に斑点米率をプロットした結果、「ゆきひかり」、「きらら397」の回帰直線はY=0.00206・X+0.059、「ほしのゆめ」はY=0.00372・X+0.173となり、その傾きは「ほしのゆめ」のほうが1.81倍大きく、その分「ほしのゆめ」のほうが斑点米が出やすい()。データを平成11、12年の中央農試に限ってもその傾きは2.01倍となり、また、両変数を対数にとってもほぼ同様の結果となる。
  2. 以上のことから、「ほしのゆめ」はカメムシの発生密度に対する斑点米の生じやすさが他の品種の約2倍であり、その要防除水準は他品種の1/2とするのが適当である。従って、他の品種における乳熟期以降の要防除水準2頭(捕虫網20回振りあたり)に対しては、「ほしのゆめ」は1頭とするのが適当である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 「ほしのゆめ」栽培時の斑点米カメムシ薬剤防除対策指導の参考となる。
  2. 実際の薬剤防除の要否判断は種々の条件を勘案しなければならないので、この要防除水準は、その判断の基礎となる一資料として位置付ける。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:「ほしのゆめ」における斑点米カメムシの要防除水準(指導参考)
[その他]
研究課題名:水稲病害虫の要防除水準と発生予測を組合せた防除体系の確立(2)カメムシ
予算区分 :道費
研究期間 :平成12年度(平成11〜12年)
研究担当者:八谷和彦・橋本直樹

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