秋まき小麦の赤かび病抵抗性検定のための新手法と指標品種の選定
- [要約]
- 秋まき小麦品種・系統の赤かび病に対する抵抗性検定は、ビニールハウスではMicrodochium nivale接種による検定で代表できる。「チホクコムギ」(弱)、「ホクシン」(やや弱)、「ホロシリコムギ」・「北見77号」(やや強)は抵抗性評価のための指標品種・系統となる。
北海道立北見農業試験場・生産研究部・病虫科
[連絡先]0157-47-2146
[部会名]生産環境
[専門]作物病害
[対象]麦類
[分類]研究
- [背景・ねらい]
- 病原菌接種とハウス内の環境制御により秋まき小麦の赤かび病抵抗性検定の精度を高めるとともに、M. nivaleとFusarium graminearumの2菌種に対する品種・系統の抵抗性の強弱を検討する。
- [成果の内容・特徴]
- M. nivaleの接種検定法は、ビニールハウスでは年次間のふれが小さく、精度が高い(表1)。
- ビニールハウスでのM. nivale、F. graminearumそれぞれの接種検定による秋まき小麦の品種・系統の抵抗性の強弱はほぼ一致するので(表2)、ビニールハウスでは、M. nivaleによる検定で代表できる。
- 複数年の検定結果がそろっている品種・系統について、M. nivaleによる検定(表3)とF. graminearumによる検定を総合して抵抗性の指標となる品種・系統を選定した。
- 以上から、赤かび病の抵抗性評価のための指標となる4品種・系統を選んだ。
弱 やや弱 やや強
やや早生 − 「ホクシン」 「北見77号」
中生 「チホクコムギ」 − 「ホロシリコムギ」
- [成果の活用面・留意点]
- 本検定法は秋まき小麦の赤かび病抵抗性検定に利用できる。
- 秋まき小麦の品種・系統の赤かび病抵抗性は、ビニールハウスでのM. nivale接種によって検定する。また、圃場でのF. graminearum 接種を合わせて行い参考とする。
- 抵抗性の判定には複数年の供試が必要である。
- 平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:秋まき小麦の赤かび病抵抗性検定のための手法の改良と指標品種の選定(研究参考)
- [その他]
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研究課題名:極良品質小麦の開発促進 2. 特性検定と選抜の強化 3) 赤かび病抵抗性検定法の改良と系統選抜
予算区分 :道費
研究期間 :平成12年度(平成8〜12年)
研究担当者:相馬 潤・齊藤美奈子
発表論文等:相馬 潤・阿部秀夫・柳沢 朗 コムギの赤かび病抵抗性検定における穂の発病程度と粒の被害の関係、北日本病害虫研究会報、48:55-58(1997)
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