蒸気土壌消毒によるハウス栽培スイカ半身萎凋病の軽減効果
- [要約]
- 蒸気土壌消毒によるスイカ半身萎凋病の軽減効果は極めて高く、その持続効果は局所処理においても消毒後2作目まで認められる。作土層内の本病菌を含む糸状菌の死滅に要する消毒時間は90℃以上になってから9分である。
北海道原子力環境センター・農業研究科
[連絡先]0135-74-3131
[部会名]生産環境
[専門]作物病害
[対象]果菜類
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- すいかのハウス栽培ではスイカ半身萎凋病の発生が問題となっている。同病の軽減対策には減農薬栽培に対するニーズの高まりに伴い薬剤を用いない防除法の確立が望まれる。しかし、ハウス栽培は二毛作を実施する事例が多く、消毒時期が制限される。そこで、消毒時期に制限がない蒸気土壌消毒法による本病の軽減効果を明らかにする。
- [成果の内容・特徴]
- 作土層内(0〜25cm)のスイカ半身萎凋病菌(V. dahliae)を含む糸状菌を死滅させるのに必要な消毒時間は90℃以上になってから9分である(表1、2)。なお、本試験の結果では消毒開始後12分に相当した。
- 蒸気土壌消毒の全面処理によるスイカ半身萎凋病の軽減効果は極めて高く、その効果は消毒後3作目まで持続する(表3)。また、局所処理においても軽減効果は高く、持続効果は消毒後2作目まで確認される。
- すいかの収量性は蒸気土壌消毒により向上し、果実糖度は優る傾向にある。
- 蒸気土壌消毒に伴う土壌化学性の変化は、有機態窒素の無機化によるアンモニア態窒素の増加と交換性マンガンの増加である。
- 蒸気土壌消毒機を1日当たり8時間稼働させた場合の処理面積は消毒時間12分/回で31.5m2、燃料代は6,400円と試算される(表4)。
- [成果の活用面・留意点]
- 蒸気土壌消毒法は他の土壌消毒法に比べて消毒時期が限定されない、消毒後直ぐに作付けできるなどの利点がある。また、蒸気土壌消毒は小規模からの消毒が可能であることから、少発生圃場での利用価値が高い。
- 土層全体に蒸気が均一に行き渡るように作土層をよく耕起する。
- 蒸気土壌消毒の局所処理に当たっては、すいか栽培中に本病の発生程度や発生箇所の把握につとめる。
- 蒸気土壌消毒により土壌化学性に変化が生ずることがあるため、土壌診断に基づいて適正な肥培管理を行う。
- 平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
- 課題名:蒸気土壌消毒処理によるハウス栽培スイカ半身萎凋病の軽減効果(指導参考)
- [その他]
-
研究課題名:ハウス栽培における土壌環境改善によるスイカ半身萎凋病の軽減対策試験
予算区分 :道費
研究期間 :平成12年度(平成9〜12年)
研究担当者:小野寺政行,福川英司,赤司和隆,小田義信
発表論文等:なし
戻る