りんごに寄生するハダニ類の薬剤感受性
- [要約]
- 北海道の果樹産地から採集されたハダニ類の殺ダニ剤抵抗性については、一部地域のナミハダニではBPPS、フェンピロキシメート、テブフェンピラドに対する抵抗性が発達しており、リンゴハダニに関しては、特に抵抗性は発達していない。
北海道病害虫防除所・予察課
[連絡先]01238-9-2001
[部会名]生産環境
[専門]作物虫害
[対象]果樹類
[分類]指導
- [背景・ねらい]
- ハダニ類は薬剤に対する感受性が低下しやすいことが知られ、それに伴い使用される殺ダニ剤も変遷を続けている。本道に生息するハダニ類について、近年使用されている薬剤に対する感受性の現状を調査し、効率的な防除体系の構築に資する。
- [成果の内容・特徴]
- BPPS水和剤に対しては、ナミハダニでは増毛町の3系統および仁木系統が抵抗性を示し、深川市から得られた2系統も感受性が低下していた(図1)。これらの地域においては、毎年BPPS剤の散布を続けることはさらに強い抵抗性の発達につながる可能性が高い。
- ヘキシチアゾクス水和剤に対しては、ナミハダニの仁木系統および増毛A、増毛C系統で感受性が低下していた。これらの地域においては、これ以上の感受性の低下を防ぐため、ヘキシチアゾクスおよび同系のクロフェンテジンの毎年の散布は避けるべきである。(図2)。
- フェンピロキシメート水和剤に対しては、ナミハダニでは深川B系統および仁木系統で抵抗性が発達していた(図3)。このうち、テブフェンピラドを連続散布していたほ場から得られた深川B系統は、テブフェンピラドに対しても抵抗性を示した(図4)。
フェンピロキシメートに対する抵抗性とテブフェンピラドに対する抵抗性は交差する可能性があるため、同一年度内に続けて散布することはさらに抵抗性を発達させる危険性がある。
- リンゴハダニに関しては、増毛町の系統はフェンピロキシメートおよびBPPSに、旭川市の系統はBPPSに対しやや感受性が低下していたが、その程度は低く、実用上は問題ないと考えられる(表2)。
- [成果の活用面・留意点]
- 果樹ハダニ類の薬剤防除計画を立てる上で参考となる。
- 平成12年度北海道農業試験会議における課題名および区分
- 課題名:りんごに寄生するハダニ類の薬剤感受性(指導参考)
- [具体的データ]
- 表1
- [その他]
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研究課題名:総合的病害虫管理技術実証事業 果樹寄生ハダニ類の薬剤抵抗性モニタリング
予算区分 :補助
研究期間 :平成12年度(平成10〜12年)
研究担当者:小野寺鶴将、堀 友子
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