水田転換畑における大豆新品種「ユキホマレ」の遅まき栽培


[要約]
転換畑における大豆栽培では、早生品種「ユキホマレ」の5月末〜6月上旬播種により、春作業の競合回避が可能であり、大豆わい化病の感染を軽減できる可能性が高い。
[キーワード]
転換畑、大豆、ユキホマレ、遅まき栽培、わい化病
[担当]北農研・総合研究部・総合研究第1チーム
[連絡先]011-857-9300
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
寒地の水田輪作を確立するためには大豆の安定栽培が必要であるが、近年における大豆わい化病の多発、水稲移植と大豆播種期との作業競合など、解決すべき問題点が多い。大豆新品種「ユキホマレ」はこれまでにない早生品種であることから、春作業競合の回避策として遅まき栽培の可能性が考えられる。さらに、播種期を遅くすることにより大豆わい化病の感染軽減の可能性を示唆する報告がある。そこで「ユキホマレ」を用いた6月上旬の大豆遅まき栽培の効果について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 「ユキホマレ」の密植栽培により、5月中旬播種よりも5月末〜6月上旬播種で高い収量が得られる(図1)。
  2. 「ユキホマレ」は6月上旬に播種しても成熟に必要な積算温度が得られるため、成熟期は9月下旬〜10月上旬となり登熟遅延となる危険性は低い(表1)。
  3. 「ユキホマレ」の5月中旬播種では成熟期が早まるため、収穫期の9月に多雨に遭遇する危険性が高く、種子にカビが発生するなど品質が劣化することがある(表1)。
  4. 6月上旬に播種された「ユキホマレ」は出芽期が6月中旬となり、わい化病株率が低下する。遅まき栽培により大豆わい化病の感染を軽減できる可能性が高い(表2)。
  5. 以上から、道央地帯の転換畑大豆栽培では「ユキホマレ」を用いた5月末〜6月上旬の遅まき栽培が有効である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 転換畑大豆の安定栽培に活用できる。
  2. 適用地域は石狩・空知(北海道大豆栽培地帯区分のIV)の温度条件の良い地帯とする。
  3. 大豆わい化病の2次感染防止のため播種時の粒剤施用は必要である。

[その他]
研究課題名:マルチシーディング技術を基幹とする大規模稲・麦・大豆水田輪作体系の実証
予算区分 :21世紀プロ(7系)
研究期間 :2001〜2005年度
研究担当者:渡辺治郎、大下泰生、湯川智行、粟崎弘利
発表論文等:なし

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