不耕起播種機を利用した水稲乾田直播の作業体系と施肥
- [要約]
- 作溝型不耕起播種機を利用したチゼルプラウ耕起→レーザ均平→鎮圧→不耕起播種機の作業体系により、播種関連作業時間をこれまでより1時間/ha短縮でき、必要な苗立ち数を確保できる。側条施肥が有効で、初期生育確保に必要な十分な量の速効性窒素と、慣行の乾田直播よりも多めの緩効性窒素とを組み合わせて施用する。
- [キーワード]
- 北農研・総合研究部・総合研究第1チーム
[担当]上川農試・研究部・畑作園芸科、栽培環境科、病虫科・技術普及部
[連絡先]011-857-9300
[区分]北海道農業・総合研究
[分類]技術・普及
- [背景・ねらい]
- 乾田直播の播種作業は降雨により適期の播種作業を行えないことがある。また、規模拡大が進んでいる営農現場では、播種期間が長く必要なことから慣行のアップカットロータリシーダに代わる高能率な播種機への要望が強い。水稲の不耕起乾田直播栽培は耕うん作業を最小限にとどめることから、作業能率が高く規模拡大のための有効な手段と考えられる。しかし、精密な播種精度、ワラの処理、圃場の均平性の確保や透水性の制御、少ない土壌窒素の発現に対応した施肥管理など解決すべき課題は多い。そこで、作溝型不耕起播種機を利用した作業体系を検討するとともに施肥等の管理技術を明らかにする。
- [成果の内容・特徴]
- 作溝型不耕起播種機を用いる場合、稲ワラが残存する圃場では播種精度が低下し、均平が不十分な圃場では発芽苗立ちが低下する(図2)。
- チゼルプラウ耕起→レーザ均平→鎮圧→不耕起播種機による耕起・施肥・播種の作業体系をとることにより、作業時間は7時間とこれまでよりも1時間短縮でき、必要な苗立ち数を確保できる(図1、図3)。
- 作溝型不耕起播種機を利用した乾田直播で播種期を早めると、湛水期までの乾田期間が長くなり施肥窒素の損失が生じるため茎数が確保できない。したがって、4月中旬以前の極端な早播きは避けるべきである。
- 作溝型不耕起播種機を利用した乾田直播水稲では、表面施肥は分けつ初期から茎数が少なく収穫期の穂数が不足して低収となる。
- 作溝型不耕起播種機を利用した乾田直播水稲の施肥は、速効性窒素と緩効性窒素を組み合わせた側条施肥が効果的である。速効性窒素は初期生育を十分確保できる量が必要であり、緩効性窒素は慣行の乾田直播より多めに設定する必要がある(表1)。
- [成果の活用面・留意点]
- 不耕起播種機を利用した乾田直播の播種作業の効率化、直播面積の拡大に活用できる
- 本成績の緩効性窒素肥料は被覆尿素(40日タイプ)である。
- 平成13年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
- 「不耕起播種機を利用した水稲乾田直播の作業体系と施肥」(指導参考)
- [その他]
-
研究課題名:不耕起播種水稲の生育制御技術の確立
予算区分 :地域総合、21世紀プロ(7系)、交付金
研究期間 :1997〜2001年度
研究担当者:渡辺治郎、井上慶一、粟崎弘利、大下泰生、湯川智行、柴田洋一、村上則幸、藤井寿美、相原克磨、安田道夫、伊藤純雄、君和田健二
発表論文等:渡辺・粟崎・大下・湯川(2001) 日本土壌肥料学会講演要旨集 第47集
戻る