軟X線によるてんさい複胚珠種子の非破壊調査法
- [要約]
- てんさい単胚果実に軟X線を照射することにより果実内の複胚珠種子が効率的に調査できる。
- [キーワード]
- てんさい、複胚珠、単胚、軟X線、非破壊、効率性
[担当]北農研・畑作研究部・てん菜育種研究室
[連絡先]0155-62-9271
[区分]北海道農業・作物
[分類]科学・参考
- [背景・ねらい]
- 単胚性てんさい種子の流通形態は果実であり、肥大した子房内に一つの種子(胚珠)を含んでいる。複胚珠種子は外観上、単胚果実と変わらないが、子房内に複数の種子を含むため、出芽後の間引きが必要となる不良形質である。従来、複胚珠性は、水洗・発芽後に調査する解剖法に依存していたが、時間と労力を伴うものであった。また、てんさいに果実の形態調査には、X線を用いた調査法が報告されているが、調査時の果実の安定性確保及び現像の必要性等から効率性、また、解像度の面で問題とされていた。そこで、軟X線装置の利用法を改良し、果実内を透過・直写することにより胚珠数を効率的に調査する手法の開発を目的とする。
- [成果の内容・特徴]
- てんさい果実用に作成したアクリル板により、透過率の向上及び果実の安定性が確保される(図1)。
- 本軟X線装置は、現像が不要で、軟X線画像を連続的にモニタ−で観察できる。また、200倍に拡大されるため、複胚珠種子(図2−b)は単胚種子(図2−a)と区別でき、解剖法とほぼ同一精度で判定ができる(図3)。
- アクリル板2枚分の計400粒が約12分で調査できる。調査時間は解剖法より約150倍早く、効率的である。
- 非破壊調査であるため調査後の種子の利用が可能である。
- 中に種子を含まない空胚果実の調査も可能である(図2−C)。
- [成果の活用面・留意点]
- 単胚性品種育成並びに有用遺伝資源の複胚珠性の調査に用いる。
- 未乾燥果実の調査はできない。
- [その他]
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研究課題名:てんさい一代雑種における選抜及び検定方法の開発
予算区分 :交付金
研究期間 :1999〜2008
研究担当者:大潟直樹、田中征勝
発表論文等:大潟、田中(1996)てん菜研究会報38:24-31
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