サイレージ用トウモロコシの耐倒伏性・多収品種「北交55号」
- [要約]
- 耐倒伏性が強い寒地向きサイレージ用トウモロコシのF1品種「北交55号」を育成した。本品種は“中生の中”に属し、多収で、初期生育に優れる。北海道の道央(北部を除く)および道南地域を適地とする。
- [キーワード]
- トウモロコシ、育種、飼料、サイレージ、品種、耐倒伏性、多収
[担当]北農研・作物開発部・飼料作物育種研究室
[連絡先]011-857-9317
[区分]北海道農業・作物
[分類]技術・普及
- [背景・ねらい]
- 生育期間中の積算気温が制約される北海道では、地域ごとに黄熟期刈りの可能な熟期の品種が要求される。現在の普及品種はヨーロッパや米国からの導入品種で占められているが、北海道の寒冷な気候への適応性に優れ、耐倒伏性がより強い安定・多収品種が求められている。そこで、北海道の道央および道南地域に適する中生の耐倒伏性・多収品種を育成しようとした。
- [成果の内容・特徴]
- 「北交55号」はデント種自殖系統「Ho57」を種子親、フリント種自殖系統「Ho49」を花粉親として育成された単交雑一代雑種である。
- 熟期は“中生の中”に属する。絹糸抽出期は中生の中の普及品種「3790」より1日遅く中生の晩の普及品種「3845」並で、収穫時の乾物率は「3790」と同程度である(表1)。
- 乾物総重は平均で「3790」より6%高く、「3845」より3%高い。乾雌穂重割合は「3790」および「3845」よりやや低い(表1、2)。
- 耐倒伏性は“強〜極強”で「3790」および「3845」より強い(図1)。
- 初期生育は“良”で「3790」より優れ「3845」並である。
- すす紋病抵抗性は“中”で「3790」および「3845」より弱いが、本病抵抗性の基準品種「キタユタカ」よりやや強い。ごま葉枯病抵抗性は“中”で「3790」より弱く「3845」並で「キタユタカ」より強い。黒穂病抵抗性は“強”で「3790」並で「3845」より強い(表1)。
- 雌雄畦比3:1での採種量は38kg/a程度である。採種栽培では花粉親を3〜4週間晩播することにより両親の開花期が合致する。
- [成果の活用面・留意点]
- 北海道の道央(北部を除く)および道南地域を適地とし、普及見込み面積は1,200haである。種子の供給開始は、平成15年度栽培用からの予定である。
- 密植適性は比較的高いが、栽植密度はアール当たり680〜800本程度とする。
- 平成13年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
- 「サイレージ用トウモロコシ新品種候補系統「北交55号」」(普及奨励)
- [その他]
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研究課題名:トウモロコシの高栄養、多収、環境耐性品種の育成
予算区分 :交付金
研究期間 :1995〜2001年度
研究担当者:濃沼圭一、三浦康男、佐藤 尚、高宮泰宏、榎 宏征、三木一嘉
発表論文等:なし
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