高能力牛に対する低水分アルファルファサイレージの給与効果


[要約]
分娩後の乳牛に低水分アルファルファサイレージを粗濃比1:1の混合飼料として給与すると、イネ科牧草のグラスサイレージと比較して、乾物摂取量の早期増加および乳量増加に効果がある。このため、高能力牛に対して泌乳初期から利用する粗飼料源として、低水分アルファルファサイレージの給与が有効である。
[キーワード]
アルファルファ、低水分サイレージ、乳用牛、高能力牛、乾物摂取量、乳量
[担当]北農研・畜産草地部・家畜管理研究室
[連絡先]011-857-9307
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
近年、北海道地域向けのアルファルファの新品種が育成され、酪農家への普及が図られている。現在の乳牛は産乳能力が高いため栄養要求量が多いが、泌乳初期の乾物摂取量に限界があるため、エネルギーを充足するだけの飼料摂取ができない。そこで、蛋白質やミネラル含量が高く、粗飼料の中でも嗜好性が優れる低水分アルファルファサイレージの利用により、泌乳初期の乾物摂取量が高まれば、乳量増加が期待できる。
[成果の内容・特徴]
  1. 分娩後の乳牛に低水分アルファルファサイレージと配合飼料とが乾物比1:1の混合飼料を調製し(表1)、自由採食させると、イネ科牧草のグラスサイレージと配合飼料1:1の混合飼料給与に比べ、分娩後1週から10週の乾物摂取量が有意に多くなる(図1)。アルファルファ区では分娩後7週以後の体重当たりの乾物摂取量が安定的に4%以上に達するが、グラス区では分娩10週後でも3.6%である。
  2. 分娩後に給与した飼料のTDN含量は両区で等しいが、NDF含量はアルファルファ区で低い(表2)。分娩後1週から10週の乳量は、アルファルファ区が有意に多く(図2)、分娩後10週間の平均日乳量ではアルファルファ区47.8kg、グラス区34.7kgである。TDN充足率は、アルファルファ区が高い傾向であるが区間に有意差はない。
  3. アルファルファ区では、乾物摂取量の増加に伴う養分摂取量の向上が高泌乳をもたらしたと推察された。高能力牛に対して泌乳初期から最盛期に給与する粗飼料源として、イネ科牧草のグラスサイレージよりも低水分アルファルファサイレージが有効であることが示された。
[成果の活用面・留意点]
  1. 高能力牛に対して泌乳初期から給与する粗飼料源として、低水分アルファルファサイレージの利用が推奨される。
  2. アルファルファサイレージは分解性蛋白質やカリウム含量が高いため、飼料分析を行って、これらが適正な範囲に入るように飼料設計する必要がある。
  3. 分娩前にアルファルファサイレージを大量給与すると、分娩後に乳熱発生の危険があるので避ける。

[その他]
研究課題名:牛乳の成分的品質向上のための給与技術の開発
予算区分 :地域総合
研究期間 :1998〜2001年度
研究担当者:中村正斗、佐藤義和、矢用健一
発表論文等:中村ら(2001) 第57回北海道畜産学会大会講要:12

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