アルファルファ低水分ラップサイレージの簡易な品質評価法
- [要約]
- アルファルファ低水分ラップサイレージの品質は、通常の乾草と同様に、栄養価(飼料成分、消化率あるいはTDN含量)で評価できる。また、TDN含量は、TDN=97.262−1.034ADF(R2=0.6319)の推定式でADF含量から簡易に推定できる。
- [キーワード]
- 低水分ラップサイレージ、アルファルファ、品質評価、栄養価、発酵品質
[担当]北農研・畜産草地部・飼料評価研究室
[連絡先]011-857-9236
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及
- [背景・ねらい]
- 飼料自給率の向上には自給粗飼料の流通が必須である。低水分ラップサイレージは可搬性に優れていることから流通化への期待が高く、価格設定等に利用できる品質評価法の策定が求められている。
- 現在、サイレージの品質は主に栄養価(飼料成分、消化率、TDN含量など)と発酵品質(pH、アンモニア態窒素含量、有機酸含量など)で評価されている。また、乾草は水分含量が極めて低く発酵しないため、品質は主に栄養価で評価されている。しかしながら、水分含量20〜40%台の低水分ラップサイレージは、微弱ではあるが発酵が起こるため、品質評価にサイレージと同様の指標を用いるべきか、あるいは乾草の指標で評価可能なのか明らかにされていない。そこで、品質評価に必要な分析項目を検討し、アルファルファ低水分ラップサイレージの栄養価を簡易測定するために最適な手法を明らかにする。
- [成果の内容・特徴]
- 低水分ラップサイレージはpHが総じて高く、発酵の程度は低い。また、品質劣化の指標である全窒素中のアンモニア態窒素の割合(VBN/TN比)は低く、酪酸もほとんど検出されない(表1)。そのため、発酵品質が品質に寄与する程度は低く、品質は通常の乾草と同様に栄養価で評価可能である。
- 一般にサイレージでは、原料草が同一であっても水分含量が異なる場合、飼料成分は異なるが、低水分ラップサイレージでは水分含量が異なっても飼料成分に大きな差は認められない(表1)。
- 低水分ラップサイレージの消化率は、原料草が同一である場合、水分含量が異なっても大差はなく、TDN含量は同一である(表1)。
- 30点のアルファルファ低水分ラップサイレージを供試した消化試験の結果、TDN含量は以下の式でADF含量から簡易に推定できる(図1)。
- TDN=97.262−1.034×ADF (R2=0.6319,SE=3.9163, n=30)
- [成果の活用面・留意点]
- アルファルファ低水分ラップサイレージの品質評価に活用できる。
- [その他]
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研究課題名:ラップ乾草格付け基準策定のための品質評価指標の確立
予算区分 :21世紀プロ3系
研究期間 :1999〜2001年度
研究担当者:野中和久、久米新一、大下友子
発表論文等:野中・名久井・大下(1999)日草誌45(3):270-277
野中(2002)北海道農業研究センター研究報告176:1-55
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