ロールベールの運搬・密封機
- [要約]
- 圃場に放出されたロールベールをリフトアームを用いて3個拾い上げ、圃場外へ搬出した後、密封して順次荷降ろしするロールベール運搬・密封機(ラッピングワゴン)は、アルファルファ草地の車輪踏圧軽減に有効であるとともに省力的である。
- [キーワード]
- ロールベール、運搬、密封、アルファルファ、車輪踏圧
[担当]北農研・総合研究部・総合研究第3チーム
[連絡先]0155-62-9286
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及
- [背景・ねらい]
- アルファルファは車輪踏圧に弱く、維持年数が短くなる大きな要因の一つとなっており、大型機械が草地へ入る回数をできる限り少なくする作業体系が求められている。車輪踏圧による再生不良を軽減するとともにロールベールの近距離運搬および密封作業を省力化するため、圃場内に散らばったベールを効率的に積込んだ後、密封してから荷降ろしできる運搬兼用の密封作業機(ラッピングワゴン)を開発する。
- [成果の内容・特徴]
- 運搬・密封機は、ターンテーブル式のベールラッパに左右一対のリフトアームを有し、ロールベールをすくい上げて、ターンテーブル上を加え合計3個のベールを一度に運搬できる(表1)。運搬後は、順次ターンテーブル上で被覆してから後方にダンプして荷降ろしする(図1)。
- 本機は、圃場でベールを密封した後に搬出する体系あるいはトラクタに装着したフロントローダ・トレーラ等で直接ベールを搬出する慣行法に比べ、作業工程が減少したり走行経路が短縮されるため、車輪踏圧を受ける面積は従来の1/2〜1/3に減少すると推定される。
- 圃場に隣接した貯蔵場所までの、収穫から荷降ろしまでのサイクルタイムは約10分、1時間に17〜18個の密封が可能であり(表2)、圃場までの距離が300mであれば、オペレータ1名でha当たり1時間前後の作業能率で処理できる(図2)。また、圃場が遠い場合は、収穫作業と運搬・収納作業の分離が容易となる。
- [成果の活用面・留意点]
- ベールを1工程で速やかに圃場から搬出して密封することができるため、アルファルファ再生芽、冠基部の踏圧損傷による収量低下を軽減できる。
- 畜舎周囲に圃場が集積されている経営や圃場近傍に荷降ろしスペースを有する一時貯蔵場所がある場合に有効である。
- ベール運搬時は、一般車両の往来する公道走行を避ける。
- [その他]
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研究課題名:機械作業が永年牧草の収量性に及ぼす影響
予算区分 :交付金
研究期間 :1999〜2001年度
研究担当者:糸川信弘、池田哲也、松村哲夫
発表論文等:糸川ら(2002)畜産の研究 56(2):33-38
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