変性小麦粉の特性評価と各種用途開発


[要約]
種々の小麦品種,系統の加熱変性小麦粉特性は、ペントサン含量が高く、粒度の小さい硬質小麦系統の粉が良好であり、「北海257号」の特性が特に優れる。「北海257号」の変性粉はコロッケ用バッター、クッキーの食感改良適性がある。
[キーワード]
小麦粉、加熱、粘度、バッター
[担当]北農研・畑作研究部・品質制御研究チーム、麦育種研究室、流通システム研究チーム、地域基盤部・品質生理研究室
[連絡先]0155-62-9279
[区分]北海道農業・流通利用
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
各種のフライ、天ぷら用のバッター、各種食品の物性改良用の素材として用途が期待できる加熱処理した変性小麦粉(以下、変性粉)の特性を種々の小麦品種,系統を対象に評価し、変性粉特性と小麦粉品質の関係を明らかにすると共に特性良好な変性粉の用途を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 一定濃度の変性粉懸濁液の粘度を測定することによって変性粉特性を評価できる(粘度が高い方が変性粉特性良:データ省略)。
  2. ホロシリコムギは952.5mPa・sの高い粘度を示し、変性粉特性が良好である。ホロシリコムギ以上の特性を示す小麦粉は、85サンプル中14あり、代表的輸入銘柄(1CW、HRW、ASW)、北海道の主要品種と農林61号はホロシリコムギよりも低い粘度を示す。「北海257号」はホロシリコムギ以上の粘度値を示す(図1)。
  3. ペントサン含量が高く、粒度の小さい硬質小麦粉が、変性粉特性が良好である。「北海257号」は、ホロシリコムギ以上の高い粘度と高いペントサン含量を示し、変性粉原料として有望である(図2)。
  4. 「北海257号」の変性粉は、フライ用のバッター適性、クッキーの食感改良効果がある(表1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 北海257号の変性粉を用いるとこれまでよりも低コストでバッター液の調製が可能になる。
  2. ペントサン含量と粒度を指標にした変性粉特性良好な小麦の育種が可能になる。
  3. 変性粉特性の評価は、31.5%変性粉懸濁液の25℃での粘度を測定することによって評価できる。粘度が高いほど特性が良と評価される。
  4. 「北海257号」は種苗登録中であり、奨励品種決定試験に供試中の系統である。

平成13年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:変性小麦粉の特性評価と新用途開発(研究参考)
[その他]
研究課題名:変性小麦粉の特性評価と新用途開発
予算区分 :21世紀プロ(麦緊急開発)
研究期間 :1999〜2001年度
研究担当者:山内宏昭、入来規雄、高田兼則、西尾善太、桑原達雄、斎藤勝一、小田有二
発表論文等:Iriki et al. (1999)Proceedings of the ninth assembly wheat breeding society of Australia:212
      入来ら(2001)「加熱変性小麦粉及びその小麦粉を用いた食品素材、食品」:特願2001-189880
      山内ら(2001)日本食品科学工学会第48回大会講要:134

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