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| [背景・ねらい] |
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近年、消費者間において赤皮ばれいしょ品種への関心が高まってきており、欧米ではすでに赤皮品種が調理用品種の一分類としての地位を確立していることからも、赤皮品種に対する潜在的な需要は高いと考えられる。しかし、既存品種の「ベニアカリ」は皮色の赤みが淡く、白肉であるため商品性がやや劣る。また、赤皮黄肉品種の「アンデス赤」や「レッドムーン」はいもの休眠期間が短く貯蔵性が劣るため、主として一般流通を通さない限定的な販売に止まっているのが現状である。そこで、実用形質の優れる赤皮黄肉品種の開発を行い、新規の調理用ばれいしょ需要の開拓を図る。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
「北海86号」は、「北海77号」を母親、「87028-6」を父親とするジャガイモシストセンチュウ抵抗性赤皮多収系統間の交配によって得られた実生種子より選抜された系統である。 |
| 2. |
熟期は「男爵薯」より2週間程度遅い中生系統である。いもの肥大性はやや劣るものの、上いも数、上いも一個重および収量は「男爵薯」並みである。でん粉価は「男爵薯」より1〜2%程度高い(表1)。 |
| 3. |
いもは扁球形で目は浅く、形は優れる。皮色は鮮やかな赤色で、肉色は黄色であるため、非常に特徴的な外観特性である。いもの休眠期間は「男爵薯」並みで一般的な品種と同等の貯蔵性であり、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性である(表2)。 |
| 4. |
調理特性について、煮崩れ程度は「男爵薯」並みであり、水煮後の黒変はない。肉質はやや粉質で、食味は「男爵薯」並みに優れる。油を用いる調理については、フライ適性はあるが、チップ適性はない(表3)。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
いもの中心空洞が「男爵薯」より発生しやすいので、浴光育芽等により萌芽と初期生育を確保し、いもが急激に肥大する疎植・多肥の栽培条件を避ける。 |
| 2. |
試作栽培を十分行って、商品栽培の可否を決定する。 |
| 3. |
当面は、北海道の十勝管内を普及対象地域とする。 |
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