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放牧草のCP含量が25%を上回ると、濃厚飼料無給与かつ全日放牧条件における放牧牛の血液中尿素態窒素(BUN)濃度は繁殖性等に望ましくない20mg/dLに至る。一方、放牧草のCP含量が15%を下回ると、放牧牛のBUN濃度が20mg/dLに至る危険性はほとんどなくなる(図1)。 |
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CP含量25%以上のチモシーでは、硝酸態窒素含量も危険値とされる0.2%を大幅に越えやすくなる。一方、CP含量15%未満では、硝酸態窒素含量が0.2%に至る危険性はほとんどない。この中間の水準では、硝酸態窒素含量が一時的に0.2%に至る場合があるが、大幅に越える危険性は少ない(図2)。 |
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チモシーのCP含量は、季節の進行に伴って上昇する傾向があり、5-8月に20%を越えると9-10月には25%以上となる(図3)。 |
| 4. |
チモシー単播草地において放牧時の輪換間隔を想定した刈取り間隔を7日以上(図4△、□)とするならば、1回当たりの窒素施肥量を3kg/10a以内とし、施肥後2週間程度以降に利用することで硝酸態窒素含量上昇の危険性は小さい(図4)。 |
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以上の結果、チモシーを基幹とする集約放牧草地では、放牧草のCP含量が放牧期間を通じて25%未満となるように管理することが安全である。そのためには、春と夏の放牧草CP含量を20%程度とし、1回当たりの窒素施肥量を3kg/10a以内とした上で施肥後2週間目以降に放牧するよう留意する。 |