| 1. |
植物のフルクタン代謝酵素及びインベルターゼのアミノ酸配列に高度に保存されている領域を利用して、ハードニングしたフルクタン高度蓄積性の秋播コムギPI
173438クラウン組織からオオムギのsucrose:fructan 6-fructosyltransferase (6-SFT)と約93%の相同性を持つcDNA(Wft1)及びトールフェスクのsucrose:sucrose
1-fructosyltransferase (1-SST)と約73%の相同性を持つcDNA(Wft2)を単離した。 |
| 2. |
単離した2種類のcDNAをメタノール資化性酵母(Pichia pastoris)に組み込み発現させ、Wft1、Wft2がコードするタンパクの酵素学的性質の解析を行った。Wft1由来のタンパクは、スクロース(2糖)を基質として1-ケストース(3糖)、6-ケストース(3糖)、スクロースと1-ケストースを基質として、1&6-ケストテトラオース(4糖)を主に合成する活性を持つことから6-SFTである。Wft2由来のタンパクは、スクロースを基質として1-ケストースを合成する一方、1-ケストースを基質として4糖を合成する活性が低いことから、1-SSTである(図1)。 |
| 3. |
5品種の秋播コムギ、フルクタン蓄積量が極めて多いPI 173438及び農林62号、フルクタン蓄積量が前述の2品種より少ないValuevskaya、Norster及びチホクコムギにおける秋から初冬にかけてのハードニング中の両遺伝子の発現量の解析を行った。両遺伝子ともに、葉及びクラウン組織でハードニング誘導性が確認され、かつフルクタン蓄積量の多いコムギ(PI
173438,農林62号)で特に発現量が多い。このことから、単離されたWft1,Wft2はともに越冬のためのフルクタン蓄積に関与する遺伝子である(図2)。 |