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| [背景・ねらい] |
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てんさいの直播栽培では、苗立ち数が確保され、初期生育を旺盛にして生育を促進させることが、安定確収を実現するために必要である。てんさいの初期生育には、真正種子重の大きさが関与しており、直播向け系統の育成には真正種子重による選抜・改良が有効と考えられる。
真正種子重の測定は、これまで発芽直後の果実から、ピンセットで真正種子を取り出し、乾物重を測定後、1粒あたりの真正種子重を算出していた。そのため、多大な時間と労力を伴うものであった。そこで、近赤外分光法により、果実に含まれる真正種子の比率を簡易に測定し、真正種子重の効率的な測定法を開発する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
粉砕したてんさい果実のスペクトルパターンは、2308nm、2348nmなど脂質に帰属する波長において系統間差が認められ(図1)、真正種子の比率を推定する上で有効な波長であった。 |
| 2. |
果実重と真正種子重との間には、有意な相関関係が認められるが、果実重から真正種子重を正確に推定できない(図2)。 |
| 3. |
近赤外分析法による真正種子の比率(図3)と果実重の積から、真正種子重が推定できる(図4)。 |
| 4. |
従来法では、1サンプルあたり1時間を要したが、近赤外分光法は1分で測定が可能であり、効率的である。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
てんさい品種・系統の真正種子重の選抜に利用でき、直播向け系統の育成が促進される。 |
| 2. |
真正種子重の比率の測定には、選択波長領域1100nm〜1400nm、1600nm〜1800nm、2000nm〜2450nmとする。 |
| 3. |
果実重には千粒重を用いる。 |
| 4. |
近赤外分光分析に用いるサンプルは、1サンプルあたり10gの果実を粉末化する必要がある。 |
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