| 1. |
黒ボク土の表土を充填した枠圃場から小麦収穫後に土壌を採取し、クロロホルムくん蒸抽出法における土壌と抽出液の比率(土:液比)を従来の1:20から1:40、1:80とすると、抽出される無機リン量は増加し、土:液比1:40の場合には1:20の約1.5倍以上となり、くん蒸処理をした土壌から抽出される無機リン量とくん蒸処理をしていない土壌から抽出される無機リン量の差、すなわち菌体由来の無機リン量が増加するために無機リン回収率も高くなる。しかし、土:液比1:80の場合には、菌体由来の無機リン量がマイナスとなり、さらに無機リン回収率も1を越えることから、不適当と考えられる(図1)。 |
| 2. |
黒ボク土の表土を充填した枠圃場からインゲンマメ播種前から収穫後までの間に5回土壌を採取し、クロロホルムくん蒸抽出法で土:液比を1:40として測定すると、添加無機リンの平均回収率は土:液比1:20の約1.5倍、変動係数が約半分と安定した高い回収率が得られ、バイオマスリン測定値の精度が高くなる(表1)。 |
| 3. |
腐植質黒ボク土では、トウモロコシ畑やヤナギ植栽林として利用している土壌よりも有機物の還元量の多い草地土壌のバイオマスリンが高く(図2)、淡色黒ボク土のダイズ栽培土壌では、バーク堆肥連用区よりも厩肥施用区でバイオマスリンが高い(図3)。また、添加無機リン回収率は、いずれも50%弱からそれ以上と高い。 |
| 4. |
以上の結果より、クロロホルムくん蒸抽出法の土:液比を従来の1:20から1:40にすることで、黒ボク土のバイオマスリンの測定精度が高くなり、黒ボク土への適用が可能になる。 |