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別海町に建設された集中型ふん尿処理システム(バイオガスプラント)の利用予定農家は、牛舎型式の異なるフリーストール(FS)4戸とスタンチョン(ST)7戸に区分できる(表1)。ふん尿処理方式はFS農家ではラグーンを使ったスラリー処理、ST農家では堆肥盤による堆肥処理が多い。 |
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2000年11月〜2001年2月までの冬期120日間の作業日誌からふん尿処理作業時間をみると、実作業時間(組作業時間)では牛舎形式による差はみられなかったが、延作業時間ではFS農家がST農家の約3倍になっている(図1)。 |
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ふん尿処理に要した経営費として、地域で標準的なふん尿処理機械装備を想定し(表2)、集中型ふん尿処理システム利用により節減されうる機械の減価償却費と修理費、電気料、燃料費および作業委託費について整理すると、1戸あたりFS農家では467万円、ST農家では251万円になる(図2)。FS農家はST農家の約1.9倍になるが、成牛換算1頭あたりではそれぞれ4万円と3万円になる。 |
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酪農家の集中型ふん尿処理システム利用によるふん尿処理費用節減可能額を、利用前時点でふん尿処理に要した経営費のうちの利用後に節減可能な費用とすると、1戸あたりFS農家では175万円、ST農家では108万円になり、成牛換算年間1頭あたりではFS農家14.9千円、ST農家13.3千円になる(図2)。同様に、ふん尿処理作業時間では畜舎外作業や散布作業などの同節減可能時間はFS農家0.6時間、ST農家1.3時間になる(図1)。ここで算出した経営費と労働費(1時間あたり2千円)の合計は、成牛換算年間1頭あたりFS農家では16.1千円、ST農家では15.9千円、平均では16.0千円と試算される。 |