| 1. |
道央圏におけるトマト産地について比較したところ、面積当たりの販売額は、他産地と新興のA産地との間に差が生じていた(表1)。また、早期から産地化に取り組んだ産地ほど、生産者間のばらつきが小さかった。 |
| 2. |
A産地内で取引価格が低迷している生産者は、規格内収量が少ない傾向にあり(図1)、トマト作の導入間もない生産者(栽培経験2年目まで)に多かった。その結果、10a当たり販売額は、経験者と導入間もない生産者の間に40万円以上の差が生じていた。 |
| 3. |
A産地内の生産者を対象に、普及センターが指導している基本技術の実施状況や販売成果を調査し、数量化III類及びクラスター分析を用いて、A産地における生産農家のグループ分けを行った。 |
| 4. |
A産地内における販売価格の相違からみた栽培管理の特徴を整理すると(表2)、取引価格が上位に位置する生産者は、(1)普及センターが紹介した施肥量を基準にしている、(2)ホルモン剤の濃度を温度によって変えている、(3)草勢を見ながら追肥時期を決めている、(4)下位段において障害果の摘果を徹底している、(5)果実の通気性が確保されている、(6)ハウス内に雑草が認められない。一方、産地内で取引価格が著しく低迷していた生産者ほど、(1)下位段において障害果の取り残しが目立つ、(2)果実が葉で隠れている、(3)雑草が目立つ、結果となった。すなわち、産地内で取引価格の下位層に位置する生産者ほど、基本技術を励行していないために、規格外品の出荷率が高くなり、取引価格の低迷を招いていた。 |
| 5. |
ハウスを増棟する際に必要なトマト販売額を試算した結果、10a当たり200万円の販売額を確保しなければならないことが明らかとなった(表3)。したがって、10a当たりの販売額が200万円以上である生産者は、ハウスの増棟によるトマト部門所得の増加が期待できるが(図2)、200万円以下の生産者は、まず基本技術を励行することで、面積当たりの所得を高めることが不可欠であるものと判断された(図2)。 |