| 1. |
北海道内のSPF豚農場の間には、日本SPF豚協会・認定規則にしたがって計測した肺病変指数または萎縮性鼻炎(AR)病変指数の平均値で示される清浄度の差が認められる(表1)。この農場間の清浄度差は、SPF変換時の既存豚舎・敷地の処理法、複数農場からのSPF豚の導入、農場設備および防疫管理の徹底度のいずれかに起因している。したがって、これら3項目は、SPF豚農場の清浄度維持のための重要管理点と考えられる(表2)。 |
| 2. |
SPF豚農場の生産性は、いずれの農場もコンベンショナル豚農場に比べて高い。しかし、肺病変およびAR病変の平均指数を小さくすることにより、農場飼料要求率、肉豚事故率および肉豚1頭あたりの薬品費のさらなる改善が期待できる(表1)。したがって、より高い生産性を実現するためには、農場清浄度も高水準で維持すべきである。 |
| 3. |
肺病変およびAR病変の平均指数が平均以下のSPF豚農場では、Mycoplasma hyopneumoniae(Mhp)、毒素産生性Pasteurella multocida、Haemophilus parasuis、Actinobacillus pleuropneumoniae 血清型2型および豚繁殖呼吸障害症候群(PRRS)ウィルスは陰性である。したがって、高位生産のためには、こうした病原微生物についても陰性状態を維持すべきである。 |
| 4. |
PRRSウィルスの浸潤が認められたSPF豚農場において、低コストで建設可能な発酵床豚舎に離乳子豚を移動し、既存の子豚期豚舎をオールアウトすることにより、同ウィルスの清浄化がはかられる(図1)。 |
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1.において示した重要管理点をもとに、定期的な農場防疫体制の点検および病原微生物の浸潤検査を取り入れた清浄度維持管理指針を作成した。同指針をSPF豚農場において実施することにより、陰性状態を維持している病原微生物が明確になり、農場防疫の適切さの確認が可能となる。また、防疫意識および農場内衛生管理の向上等の効果が期待できる。 |