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[背景・ねらい] |
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乳牛の運動器病は、泌乳器病、生殖器病に次いで発生が多く、除籍や生産性の低下に結びつきやすい。なかでも蹄疾患はその多くを占め、近年増加傾向にある。そこで、跛行スコアがBCS、繁殖性に与える影響を明らかにし、蹄疾患を早期に発見できるような跛行スコアの活用法を示す。 |
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[成果の内容・特徴] |
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1. |
乾乳期に跛行スコアを1〜2週毎に測定すると(表1)、スコア2以上が5割以上出現する牛は、それ未満の牛に比べて泌乳前期のBCS低下が大きく(0.58
vs 0.40)、分娩間隔も延長する傾向がある(412日 vs 395日、表2)。 |
2. |
蹄疾患の治療を行った乳牛は過去90日以内に跛行スコア2以上が連続して、もしくは3以上が1回でも観察される確率が73%と高いことから、これらを基準とすることによって、蹄疾患の早期発見に活用することができる(表6)。 |
3. |
飛節(表2)、蹄輪(表3)および蹄冠スコア(表4)は、跛行スコアと関連が見られ、跛行スコアが高いと、これらのスコアも高い傾向が見られた。このため、繋ぎ飼い飼養など跛行スコアを測定できない場面においても、跛行スコアを補助し、蹄疾患の発見に活用できる(表7)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
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1. |
跛行スコアの測定は搾乳後にミルキングパーラーから牛舎への戻り通路など、蹄がぬからない場所で実施する。搾乳前の観察は、跛行スコアが乳房の張りによって高く見積もられる。 |
2. |
蹄輪や蹄冠スコアは、蹄壁や蹄冠部が糞尿によって汚れていると測定できないため、蹄の洗浄が必要になる。 |
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