乳牛の跛行スコア活用による蹄疾患の早期発見


[要約]
跛行スコアに異常がみられるとボディーコンディションスコア(BCS)や繁殖性にも悪影響を及ぼす。1〜2週間ごとの観察で跛行スコアの異常(スコア2の連続、3以上の観察)が観察される場合には、蹄疾患に罹患している可能性が大きく、速やかに検査を行う必要がある。
[キーワード]
  乳牛、跛行スコア、ボディーコンディションスコア、繁殖性、蹄疾患
[担当]根釧農試・研究部・乳牛飼養科、酪農施設科、乳牛繁殖科
[連絡先]電話01537-2-2004、電子メールdokoshi@agri.pref.hokkaido.jp
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
乳牛の運動器病は、泌乳器病、生殖器病に次いで発生が多く、除籍や生産性の低下に結びつきやすい。なかでも蹄疾患はその多くを占め、近年増加傾向にある。そこで、跛行スコアがBCS、繁殖性に与える影響を明らかにし、蹄疾患を早期に発見できるような跛行スコアの活用法を示す。
[成果の内容・特徴]
 
1. 乾乳期に跛行スコアを1〜2週毎に測定すると(表1)、スコア2以上が5割以上出現する牛は、それ未満の牛に比べて泌乳前期のBCS低下が大きく(0.58 vs 0.40)、分娩間隔も延長する傾向がある(412日 vs 395日、表2)。
2. 蹄疾患の治療を行った乳牛は過去90日以内に跛行スコア2以上が連続して、もしくは3以上が1回でも観察される確率が73%と高いことから、これらを基準とすることによって、蹄疾患の早期発見に活用することができる(表6)。
3. 飛節(表2)、蹄輪(表3)および蹄冠スコア(表4)は、跛行スコアと関連が見られ、跛行スコアが高いと、これらのスコアも高い傾向が見られた。このため、繋ぎ飼い飼養など跛行スコアを測定できない場面においても、跛行スコアを補助し、蹄疾患の発見に活用できる(表7)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 跛行スコアの測定は搾乳後にミルキングパーラーから牛舎への戻り通路など、蹄がぬからない場所で実施する。搾乳前の観察は、跛行スコアが乳房の張りによって高く見積もられる。
2. 蹄輪や蹄冠スコアは、蹄壁や蹄冠部が糞尿によって汚れていると測定できないため、蹄の洗浄が必要になる。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 乳牛の蹄疾患早期発見と蹄の健康管理技術
予算区分: 道費
研究期間: 2000〜2002年度
研究担当者: 堂腰 顕、昆野大次、高橋圭二、草刈直仁
発表論文等: (高橋、堂腰ら、2001年度農業施設学会大会講演要旨、p30-31)


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