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| [背景・ねらい] |
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敷料の少ない乳牛の高水分固形状ふん尿は、取扱い性が悪い、高く積めないため施設の利用効率が低い、堆肥化が進まない、などの問題点を有している。そこで、これらを解消するため、ふん尿からの排汁と水分蒸発を促がして、水分除去をはかる堆肥舎を作製し、その性能を評価する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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作製した堆肥舎(図1)は中仕切り壁を設けて4つの区画に分け、ふん尿堆積物を定期的に切り返しを兼ねた移動を行うようにする。また、2区画は床にパイプ、壁にスリットを入れ、ふん尿からの排汁除去をはかるようにし(排汁促進区画)、残り2区画はパイプ、スリットのない区画とする(堆肥化区画)。
| 1. |
本施設でのふん尿の原物減少率は40~54%であって、減量化がはかられる。また切り返しによって水分蒸発量と排汁量の増加が進んで水分除去がはかられ(表1)、取扱い性が改善される。 |
| 2. |
床のパイプ、壁のスリットがある排汁促進区画(A区)では、これらがない堆肥化区画(B区)と比べて、開始時重当たり排汁量の割合は約3ポイント高い(表1)。 |
| 3. |
堆肥舎区画の前面に前仕切りを設け4方を囲む(A区)ことで、壁なし(C区)と比べて約3倍量のふん尿が堆積できる(表2)。 |
| 4. |
農家の実態を想定した壁なし、切り返しなしのふん尿堆積(C区)と比べて、本施設(A、B区)では水分の低下は大きく、有機物減少率は高く(表1)、品温は上昇して(図2)、堆肥化が進む。 |
| 5. |
本施設における機械の作業性は良好である。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
本施設は「家畜排せつ物法」対応メニューの一つである。 |
| 2. |
本施設での排汁量は開始時重の10%が目安となるが、排汁は圃場散布が原則であって、貯留容量は散布スケジュールにしたがって決める。貯留槽はシートを利用した簡易ラグーンも利用できる。 |
| 3. |
ふん尿の流動性が高く、積み高さが確保できない場合は、前仕切りを設置する。 |
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