| 1. |
温湯投入後の籾袋(4Kg)内部の籾温度推移では,60℃と58℃いずれの処理温度でも開始後1分で温度の一時的な低下が認められるが,2分後にはほぼ設定の温度条件となる(図1,2)。 |
| 2. |
60℃10分または58℃15分の温湯処理による種子の発芽率は、「ほしのゆめ」、「はくちょうもち」、「あやひめ」ともに3%以内の低下にとどまり、大きな影響は見られない(図3)。 |
| 3. |
60℃15分では「ほしのゆめ」で8.5〜19.1%、「はくちょうもち」で5.8〜6.0%、58℃20分では「ほしのゆめ」で6.0〜13.0%、「はくちょうもち」で3.0〜6.0%の発芽率の低下が認められる。「あやひめ」は「ほしのゆめ」と同様の傾向である(図4)。 |
| 4. |
60℃15分または58℃20分の温湯処理による、移植時の苗形質の劣化は認められない。 |
| 5. |
いもち病に対する各温湯処理は、対照のチウラム・ベノミル水和剤にやや劣るが、イプコナゾール・銅水和剤F、銅・フルジオキソニル・ペフラゾエート水和剤処理と同等の効果であり、実用性がある。 |
| 6. |
ばか苗病に対する各温湯処理は、対照のイプコナゾール・銅水和剤F、銅・フルジオキソニル・ペフラゾエート水和剤処理と同等の効果であり、実用性が高い。 |
| 7. |
褐条病に対する各温湯処理は、対照のイプコナゾール・銅水和剤F、銅・フルジオキソニル・ペフラゾエート水和剤、オキソリニック酸・プロクロラズ水和剤F処理に劣り、実用性は低いか無い。 |
| 8. |
苗立枯細菌病に対する各温湯処理は、対照の銅・フルジオキソニル・ペフラゾエート水和剤、イプコナゾール・銅水和剤F処理にやや優り、オキソリニック酸・プロクロラズ水和剤F処理とほぼ同等の効果で、実用性が高い。 |
| 9. |
以上の結果から、発芽率、苗形質に及ぼす影響と防除効果を総合的に判断し、処理条件とし ては60℃10分または58℃15分が妥当である。 |