| 1. |
道央地帯の春まき小麦に発生する主要な赤かび病菌はFusarium graminearumとF. avenaceumである。このうち、DON産生能を有するのはF.
graminearumである。 |
| 2. |
抵抗性"中"の「春よ恋」は"やや弱"の「ハルユタカ」に比較してDON汚染程度が低い(表1)。 |
| 3. |
初冬まき栽培は春まき栽培に比較して赤かび病発生程度ならびにDON汚染程度が低い(表1)。春まき栽培においても、早期播種により赤かび病の発生およびDON汚染を低減することができる。 |
| 4. |
薬剤防除については開花始から1週間間隔で4回散布あるいは5回散布によるDON汚染低減効果が高い(表2)。薬剤の使用時期の問題から5回目散布は困難である場合が想定されることから、DON汚染低減のためには開花始から1週間間隔での4回散布が適当と考えられる。 |
| 5. |
クレソキシムメチル水和剤F、テブコナゾール水和剤F、プロピコナゾール乳剤、チオファネートメチル水和剤およびイミノクタジン酢酸塩液剤はDON汚染低減効果が認められる(表3)。 |
| 6. |
アゾキシストロビン水和剤FはDON汚染低減効果が認められなかった例が3例中2例あり、当面春まき小麦の赤かび病防除には使用しないことが適当である(表3)。 |
| 7. |
粒厚選別および比重選別により小麦製品中の赤かび粒率を減らし、DON汚染程度を低減することができる(図1)。 |
| 8. |
DON汚染低減対策として以下の4点を総合的に用いることが必要である。a)品種「春よ恋」の利用、b)初冬まきを含めた可能な限りの早期播種、c)5.に挙げた薬剤による開花始から1週間間隔での4回散布、d)粒厚選別後の比重選。 |